映画『モネと時間旅行』

© STUDIOCANAL - COLOURS OF TIME - CE QUI ME MEUT - Emmanuelle Jacobson-Roques
監督:セドリック・クラピッシュ Cédric Klapisch
セブ:アブラム・ヴァプレ Abraham Wapler
ギィ:ヴァンサン・マケーニュ Vincent Macaigne
アデル:スザンヌ・ランドン Suzanne Lindon
2026年9月18日(金)よりヒューマントラストシネマ有楽町ほかにて全国順次公開
配給:セテラ・インターナショナル
[公式HP] https://monetojikan.com/
人気監督セドリック・クラピッシュの大ヒットした最新作。ある一族の現代の姿と19世紀のできごとを並行的に描き、時間旅行のように現在と過去を行き来しながら、家族のつながりを再発見していく感動作である。
現代のパリ。主人公のセブは若手の映像クリエーター。ある日、アデルという祖先の女性が所有していた古い屋敷の相続人として、30名の親族とともに集められる。土地開発のために自治体が屋敷を買い取るのだという。それまで屋敷の存在すら知らず、互いに面識もなかった親族たちから4人の代表が選ばれ、セブもその一人として屋敷の開錠立ち合いへ赴く。屋敷には古い写真や、女性が描かれた印象派らしき絵があり、セブらは鑑定に出すことに一決する。場面は変わり19世紀のノルマンディー。21歳のアデルは、祖母が亡くなり、顔も見たことのない母親を訪ねてパリへ行く。母が娼婦だったことにショックを受けるが、自分の父親がジヴェルニーに住んでいるかもしれないと聞き、訪ねることを決意する。一方、現代のセブらのもとに絵画の鑑定結果が届くが……。
個性派俳優ヴァンサン・マケーニュや、クラピッシュ作品の常連女優であるセシル・ド・フランス、若手人気俳優ポール・キルシェらが出演。モネ没後100年にふさわしい、絵画への愛に溢れた作品に仕上がった。原題は「La Venue de l’avenir(未来の訪れ)」。
【シネマひとりごと】
パリの街が好きで好きでしょうがないクラピッシュ監督。田舎を舞台にした作品もあったが、本作では、パリがパリたらんとした姿になったベルエポックの時代と現在を自由に行き来しながら、新旧のパリの魅力を映像に刻み付けている。また、長編でのコスチュームプレイはクラピッシュにとって初めての試みだが、過去と現在の色調を見事に合わせた編集が統一感を生み、19世紀の人々が現代に生きているかのようだ。
クラピッシュはこれまでもバレエなど、芸術に関心を向けた作品を撮ってきたが、今回は一瞬を切り取って後世に残すことができる写真と絵画から家族の歴史を紐解き、ミステリー的要素のある物語に仕立て上げた。本作の重要なモチーフとなるモネの『印象・日の出』に関しては、批評家のルイ・ルロワが風刺新聞「ル・シャリヴァリ」で「印象だけの書きかけの壁紙」と酷評したことが有名だが、作中にはそのエピソードも登場する。モネ好きのクラピッシュがルロワに復讐するような溜飲の下がる演出がなされていてクスっとしてしまう。この新聞記事はフランスの国立電子図書館「Gallica」で読めるが、故・山田五郎氏の著作『めちゃくちゃわかるよ! 印象派』の作品解説が「めちゃくちゃ」面白いのでおすすめしたい。冒頭のオランジュリー美術館の大装飾画「睡蓮」から、ラストに映し出されるジヴェルニーのモネの庭園まで、クラピッシュの「推し」がいっぱい詰まった、芸術のパリの旅を満喫できる一本だ。



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