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中条志穂「イチ推しフランス映画」

トラン・アン・ユンが料理と美食に対する情熱と、夫婦愛を描く『ポトフ 美食家と料理人』


© Carole-Bethuel ©2023 CURIOSA FILMS- GAUMONT - FRANCE 2 CINEMA

監督:トラン・アン・ユン Trân Anh Hùng
ウージェニー:ジュリエット・ビノシュ Juliette Binoche
ドダン:ブノワ・マジメル Benoit Magimel

12月15日(金)よりBunkamuraル・シネマ渋谷宮下、シネスイッチ銀座、新宿武蔵野館ほか全国公開

配給:ギャガ
[公式HP]https://gaga.ne.jp/pot-au-feu/

 『青いパパイヤの香り』や『夏至』など、女性や自然を繊細な色彩感覚で描くベトナム出身のトラン・アン・ユン監督の最新作。美食家ブリア゠サヴァランをモデルにした小説を原案とし、フランスの人気俳優、ジュリエット・ビノシュとブノワ・マジメルを主演に、料理と美食に対する情熱と、夫婦愛を描いた作品である。

 19世紀のフランス。美食家として有名なドダンと、彼に20年来仕える有能な料理人ウージェニーは、一緒に料理を創作しながら、互いを尊重する愛を育んできた。そんなある日、ドダンはユーラシア国の皇太子の晩餐会に招かれる。美食家仲間とともに参加したドダンだが、豪華なだけのごてごてしたメニューに失望し、逆に今度は皇太子を招待して真の料理で喜ばせようと決意する。メニューはなんと、フランスの代表的な庶民料理、ポトフ。ドダンは究極のポトフを作ろうとするが、ウージェニーが突然、病で倒れてしまうのだった…。

 芸術品ともいうべき美しい料理が次々と無駄のない動きで作られ、ガストロノミーの精神を心ゆくまで味わうことができる。ビノシュとマジメルという元夫婦が新たに結婚する役を演じるのも見どころだ。カンヌ国際映画祭最優秀監督賞を受賞した。原題は「La Passion de Dodin Bouffant (ドダン・ブッファンの情熱)」。

◇初出=『ふらんす』2024年1月号

『ふらんす』2024年1月号「対訳シナリオ」で、映画の一場面の仏日対訳シナリオを掲載しています。

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著者略歴

  1. 中条志穂(ちゅうじょう・しほ)

    翻訳家。共訳書コクトー『恐るべき子供たち』、ジッド『狭き門』

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