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中条志穂「イチ推しフランス映画」

ギャスパー・ノエの新境地『VORTEX ヴォルテックス』

映画『VORTEX ヴォルテックス』


© 2021 RECTANGLE PRODUCTIONS – GOODFELLAS – LES CINEMAS DE LA ZONE - KNM –
ARTEMIS PRODUCTIONS – SRAB FILMS – LES FILMS VELVET – KALLOUCHE CINEMA

監督・脚本:ギャスパー・ノエ Gaspar Noé
夫:ダリオ・アルジェント Dario Argento
妻:フランソワーズ・ルブラン Françoise Lebrun
息子:アレック・ルッツ Alex Lutz

12月8日(金)よりヒューマントラストシネマ渋谷、新宿シネマカリテ、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国公開

配給:シンカ

[公式HP]https://synca.jp/vortex-movie/

 『アレックス』や『CLIMAX クライマックス』など、挑発的な作風で世間を驚かせてきたギャスパー・ノエの最新作。ホラー映画の巨匠ダリオ・アルジェントと、伝説的名画『ママと娼婦』の主演女優フランソワーズ・ルブランの二人を老夫婦役に迎え、誰もが避けて通れない死への道のりを、静かに凝視するようなカメラワークで描いた作品である。

 映画評論家のダリオは、認知症を患う妻フランソワーズと二人暮らし。フランソワーズはかつて精神科医だったが、今や徘徊や物忘れがひどく、ダリオは気が休まらない。離れて暮らす息子のアレックスが時々二人の様子を見にやってくるが、彼自身も家庭や仕事がうまくいっておらず、両親の世話まで手が回らない。またダリオは心臓病を抱える身で、老夫婦だけの日常生活は限界を迎えようとしていた…。撮影時、アルジェントは80歳で、初の映画主演。ノエ監督は前作『ルクス・エテルナ 永遠の光』と前々作『クライマックス』でも用いた、画面を二分割する手法を駆使し、同時に存在しながら孤立する人間の姿を浮かび上がらせている。原題は「Vortex(渦巻き)」。

◇初出=『ふらんす』2023年12月号

『ふらんす』2023年12月号「対訳シナリオ」で、映画の一場面の仏日対訳シナリオを掲載しています。

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