映画『ママと神さまとシルヴィ・バルタン』

© 2024 GAUMONT – EGÉRIE PRODUCTIONS – 9492-2663 QUÉBEC INC. (FILIALE DE CHRISTAL FILMS PRODUCTIONS INC.) – AMAZON MGM STUDIO
監督:ケン・スコット Ken Scott
エステル:レイラ・ベクティ Leïla Bekhti
ロラン:ジョナタン・コエン Jonathan Cohen
フルーリー:ジャンヌ・バリバール Jeanne Balibar
2026年5⽉15⽇(⾦)より新宿ピカデリーほか全国順次公開
配給:クロックワークス
[公式HP] https://klockworx.com/mamakami_movie
フランスで150万人以上を動員した大ヒット作。足に障害を持った少年が、過剰なまでの母親の愛情と、国民的人気歌手シルヴィ・バルタンの歌によって運命を切り開いた、驚くべき実話に基づく。
1963年、パリ。6人きょうだいの末っ子として誕生したロランには生まれつき内反足があり、医師からは、器具無しでは一生歩けないと言われる。だが母親のエステルはあきらめず、あらゆる医師を訪ねて奔走するも、治療法がないまま数年経ち、神に祈って奇跡を待つ日々を送っていた。児童福祉局は、ロランを学校に通わせていないエステルに対し、育児放棄と見なしてロランを施設に預けるよう説得するが、エステルは聞き入れない。そんなある日、エステルの兄から一枚の絵葉書が届く。ロランと同じ障害を持つ少女が、ある医者によって治ったという話だった。エステルはこの話に飛びつき、その医者を訪ねる。一方、ロランは姉たちが聞いていたシルヴィ・バルタンの歌声に衝撃を受け夢中になる。やがてこれらの出会いがロランの運命を大きく変えることになるのだった……。『人生、ブラボー!』のケン・スコット監督が、バルタンの過去のヒット曲をバックに、思いがけぬ出会いと、母親の深い愛情がもたらす人生の不思議を感動的に描いている。現在のバルタン(81歳)が本人役で出演したことも話題である。
【シネマひとりごと】
1960年代、17歳でデビューし、世界的人気を誇るアイドル歌手となったシルヴィ・バルタン。日本でも人気が高く、1965年の初来日には1000人ものファンが羽田空港に押し寄せた。とりわけ、ウルトラマンのバルタン星人の名前の由来となった話はよく知られている。映画『アイドルを探せ』の主題歌も大ヒットしたが、同じくらい有名な『あなたのとりこ』は日本のCMで何度か採用され、映画『ウォーターボーイズ』の挿入曲として再注目された。本作で、主人公の少年が前歯の間にマジックで黒い線を描き、バルタンの歯ならびを真似する場面があるが、ジェーン・バーキンしかり、矯正しないすきっ歯が逆に魅力的に見えてしまうのも人気のなせるわざだ。20歳でロックスター、ジョニー・アリディと電撃結婚し、15年後に離婚、その後バルタンもアリディも再婚し、お互いにわだかまりもないのか、1993年のアリディの50歳記念バースデーコンサートにバルタンはゲストで出演した。アリディはトレードマークのハーレー・ダヴィッドソンのバイクにまたがり登場(2017年のアリディの葬儀ではシャンゼリゼ通りで700台のハーレーによる葬列行進があった)、パリのパルク・デ・プランス野外競技場は世紀の2大スター炎の共演とあって、火吹き男は登場するわ、たいまつは振り回すわ、噴火ショーの大狂宴となった。アリディはスギちゃんのような袖なし皮ジャンで、タトゥーが施された自慢の上腕二頭筋を披露し、その脇で真っ赤な膝上ドレスを纏ったバルタンが拳を振り上げ、ロックのリズムにのって激しく踊る。バルタンがアリディの顔にくっつきそうな距離でアカペラで熱唱すると、観客の興奮は最高潮に……この模様は国営テレビで生放送された。フランス国民にとっていかに彼らが大スターであるかを物語っている。
バルタンのすごいところは、長年第一線で活躍し続け、アイドルの枠にとどまらず、ロック、ジャズ、バラードなど自在に歌って踊れるパフォーマーであることだ。本作は、主人公に奇跡を起こしたその歌声の魅力と、現在81歳の貫禄たっぷりのお姿も拝めて、ファンにはとりわけ嬉しい作品である。



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