フランスに広がる「ひとりごはん」の新しい流れ

予約時にカウンター席かテーブル席を選べる1つ星レストラン
ここ最近、フランスのメディアでよく耳にするようになった「ソロ・ダイニング」という言葉。レストランでの外食はちょっと特別感があり、友人やパートナー、家族たちと一緒に楽しむものという意識が強いフランスでは、1人で食事をする人はさほど多くない印象ですが(カフェのバーカウンターでささっと食事を済ませる習慣は別として)、ある調査によると、2025年1〜10月の間に1人客の数は16%も増加し、予約全体の約5%を占めているそうです。
その背景には、テレワークの普及やライフスタイルの変化があります。自宅で仕事をする人が増え、気分転換に1人で食事に出る人が増えたり、スマホやイヤホンのおかげで、1人でも居心地よく過ごせる環境が整ったりしたことが、その理由として挙げられています。まさか、あんなにおしゃべりが好きなフランス人が!と驚きますが、ひとりごはんは寂しそう、といった今までのネガティブなイメージは薄れ、自分のペースで気兼ねすることなく、おいしい食事やワインをゆったりとした気分で楽しむ時間、と捉える潮流が生まれました。グループでいるときには頼まない料理を自由に注文できるのがうれしい、というアンケートの回答もあり、フランスの人たちも、案外気を使っていたんだなぁと知りました。また、1人客は料理をじっくりと味わい、サービスの質をより注意深く観察するため、複数人と会話しながら食事する人に比べて、クチコミやレビューにおいて影響力があると言われ、レストラン側がソロ・ダイニングのお客さんを丁重に扱う傾向にあるという点も、とても興味深いです。
実際にひとりごはんのトレンドを受けてか、オープンキッチンで働くシェフの手元を眺めることができる席や、道路に面した窓側に向かって腰かけることのできる席など、1人で座りやすいカウンター席を設けるレストランが増えたように感じます。あくまでも私の想像ですが、フランスではすっかりおなじみとなった寿司屋やラーメン屋といった、カウンターで食事する日本の文化の影響もあるのかもしれません。あの由緒正しきミシュランガイドのウェブ版には、「venir seul/e(1人で行く)」というカテゴリーも加わり、今後ますます、1人で食事をすることが一般的になっていくような気がします。
私たちが2007年に出版した『パリでひとりごはん』という本があります。当時はまだ、日本の旅行者が1人でも入りやすいレストランを見つけるのは簡単なことではありませんでしたが、2026年にまた、同じコンセプトの本を作ってみるのも面白いかも?と思っています。



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