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「アクチュアリテ 社会」荻野雅代(トリコロル・パリ)

フランスの師走といえば…

 日本では、師走の声を聞くと何かとせわしない気持ちになりますが、ここフランスでも、1年の締めくくりとあって、なんとなくバタバタと落ち着かない空気が漂います。フランスの12月といえば、マルシェ・ド・ノエルやイルミネーションなど、ホリデーシーズンらしい華やかなシーンがおなじみですが、それ以外にも、日常生活の中でふと感じられるフランスの師走ならではの光景があります。

 この時期のスーパーでいつも以上に品揃えが豊富になるのが、フォアグラやスモークサーモン、シャンパンのような高級食材。大晦日を過ぎると、売れ残った品物はぐんと値下げされるので、それを狙って買う人もいるとかいないとか。様々な種類の箱入りチョコレートもずらりと並びます。中でも定番は、イタリアのメーカー、フェレロの「フェレロ・ロシェ」とスイスのリンツが出している「シャンゼリゼ・アソート」の2つ。フェレロ・ロシェはヘーゼルナッツをウエハースとクリームでくるんだ球型のチョコで、ひとつずつ金色の紙で包装されているのがポイント。透明なケースにぎっしり詰められている姿がなんとも縁起が良さそうで、おめでたい気分を盛り上げてくれます。シャンゼリゼ・アソートはクラシックな詰め合わせですが、箱には金色に輝く凱旋門とシャンゼリゼ大通りのイルミネーションが描かれており、ゴージャス感があります。フランスにはお歳暮の習慣はありませんが、こうした箱入りチョコレートを友人やお世話になった方々に贈る人もいます。


スーパーに並ぶフェレロ・ロシェ

 ショーウインドウに黒いワンピースやパンツスーツが増えるのもこの季節ならでは。普段は明るい色を好むフランス人も、クリスマスや大晦日のパーティーには黒を基調にした装いにゴールドの小物を合わせるのが人気です。Carte de voeuxと呼ばれるカラフルなグリーティングカードも店頭に並びます。自分でオリジナルの印刷をする日本の年賀状とは違い、すでにイラストや文章が書かれたカードを買い、一言添えて送るのが一般的。クリスマスと新年の挨拶を兼ねており、1月中に届けばOKです。郵便配達員や消防士たちが、担当区域の家を訪ねてカレンダーを売りに来るのもこの時期ならでは。定価は無く、買う人が金額を決められるシステムで、たとえカレンダーが不要でも、今年お世話になったお礼と来年もよろしく、という気持ちを込めて購入するのが習慣になっています。

◇初出=『ふらんす』2021年12月号

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著者略歴

  1. 荻野雅代(おぎの・まさよ)(トリコロル・パリ)

    パリとフランスの情報サイト「トリコロル・パリ」を運営。著書『おしゃべりがはずむ フランスの魔法のフレーズ』

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