フランスのテレワークはこれからどうなる?
コロナ禍で急速に一般化した習慣のひとつに、自宅や遠隔地で仕事をする「テレワーク」や「リモートワーク」があります。フランス語ではTélétravail、Travail à distanceと呼ばれ、コロナ以前からインターネットを活用したテレワークを導入している会社が多い印象でした。とはいえ、2019年の統計(Eurostat調べ)によると、フランスで日常的にテレワークをしていた人はわずか7%で、決して一般的と呼べる割合ではありませんでした。そのためか、会社との契約に則って、自宅できちんと仕事をこなしているにも関わらず、上司からメールや電話が頻繁に来たり(サボっていないかのチェック)、テレワークをしていると人に話すと、「気ままで良いですね」とまるでラクをしているかのように思われたりと、どうしても色眼鏡で見られることが多かったようです。
拙著『おしゃべりがはずむフランスの魔法のフレーズ』(白水社)に、お茶目なクマさんのイラストを描いてくれたドミニク・ル・バグスさんも、長年テレワークを続けているひとりで、彼が2016年に出版したコミックエッセイTélé Macでは、家で仕事をする会社員の悲哀や、周りから理解されない苦悩やストレスを、フランス人らしい皮肉とエスプリを交えて描いています。煮詰まって、ついついお菓子ばかり食べてしまったり、週末なのに仕事が気になったり、毎日同じ缶詰のお昼ご飯にうんざりしたりと、テレワークあるあるが次から次へと綴られています。コロナ禍で、世界中のたくさんの人たちがテレワークを経験した今、当時とは比べ物にならないほど深く共感してもらえる、いわば、時代を先取りした1冊かもしれません。
テレワークの悲哀をユーモラスなイラストで綴るTélé Mac
かつては「ラクできそう」と思われがちなテレワークでしたが、いざ体験してみると良いことばかりではないようです。とある企業向けウェブサイトが昨年12月に行ったアンケートによると、テレワークでの難しさを感じると答えたフランス人が2018年は18%、2019年は24%、そしてコロナ後の2020年は40%に増えていることが分かりました。分母が大きくなればなるほど、問題点が増えるのは自然なことかもしれません。同アンケート曰く、今後は自宅と会社の両方で働けるハイブリッドなスタイルを望む声が多く、理想のテレワークは週2日という結果も出ています。ウィズコロナ時代に向けて、フレキシブルなフランス人がどんな解決策を見出していくのか気になります。
◇初出=『ふらんす』2021年10月号