改修工事のため閉鎖するポンピドゥー・センター
現在のエントランスホール。サイトに掲載されているリニューアル構想図と見比べるのも楽しい。
貴重な文化財を数多く有し、その保護に力を注ぐフランスでは、常になにかしらの改修工事が行われています。パリ旅行者にとってつらいのは、お目当てだった美術館やモニュメントがちょうど閉鎖している期間にぶち当たってしまうこと。ここ20年ぐらいの間でも、オランジュリー美術館やピカソ美術館、クリュニー美術館、カルナヴァレ美術館など、工事のために閉館していた有名スポットが数々あり、悔しい思いをした人もいるでしょう。そして、あのオペラ・ガルニエも2027年半ばからの2年間、改修のために舞台部分が閉鎖されることが決まりました。建物内は制限付きで見学可能ですが、バレエの上演が見られないのは寂しいですね。さらに、ガルニエ再開後の2030年半ばからは、オペラ・バスティーユの修復工事が始まります。
今年、改修工事のために閉館する施設といえば、パリ4区にあるポンピドゥー・センター。昨年末から徐々に改修工事の準備がスタートし、今年の夏頃には完全に閉鎖される予定です。近代芸術愛好家だったジョルジュ・ポンピドゥー大統領の肝いりで1977年に開館した施設(残念ながら、大統領はオープンの3年前に他界し、その姿を目にすることはできなかった)で、14万点を超える近現代アート作品の展示スペースをはじめ、公共図書館や映画館、多目的ホール、会議室、カフェやレストランなどが入った、国立の芸術文化センターです。当時、若き建築家だったレンゾ・ピアノとリチャード・ロジャースが手がけた、骨組みがむき出しになったようなデザインは、赤、青、黄、緑という派手な色使いと相まってあまりに斬新で、多くの人に衝撃を与え、強い批判も受けました。それから47年経ち、エキセントリックだった建築物も老朽化が進み、ファサードの改修やアスベストの完全除去、施設内のエネルギー効率化やバリアフリー化といったモダニゼーションを目的に、全面的にリニューアルされることになりました。工事は2025年から5年間、2億6200万ユーロ(約428億円)の予算をかけて行われます。
閉鎖中は、パリ郊外の町マッシーに建設中のLa Fabrique de l’Artで作品を保管しつつ、2026年以降は同施設で所蔵品の展覧会が催されるとのこと。また、フランスや世界各地での巡回展示も予定されており、公式サイト(www.centrepompidou.fr/fr/fermeture-provisoire-pour-travaux)で詳細が確認できます。