フランスの雨の季節のエトセトラ
6月になると、日本各地で梅雨入り宣言が聞こえてくると思いますが、フランスの雨の季節は年末です。フランス気象局のデータによると、1991年から2020年までの毎月の降水量の平均値は11月が102ミリとトップで、次に12月の96ミリが続きます。もちろん地域によって差があり、アルザスやマッシフ・サントラルと呼ばれるフランス南部の中央高地などは4〜5月の降水量が最も多いのですが、それ以外の地域は軒並み11〜12月が雨のシーズンになります。ただ、近年は気候変動の影響で雨の降り方にも変化が見られ、昨年3月には、南東部の多くの地域で通常の4〜6倍もの雨量が記録されました。フランス全体で見ても、2024年はここ10年で最も降水量の多い年となり、荒天と激しい雨に見舞われた1年になりました。
フランス人は傘をささないというイメージ通り、日本人に比べると傘を使う人は少なく、雨が降らないか毎日天気予報をチェックしたり、折り畳み傘を持ち歩く人も本当に少ないです。最近は前述したような気候の変化で、フランスでもゲリラ豪雨のような急な雨に見舞われることがありますが、そういったときは、お店の軒先で雨宿りしたり、カフェに入って雨足が弱まるのを待ったりする人が大半です。
フランスで雨の日に欠かせないアイテムといえばレインコート。子供も大人もフード付きの防水加工されたレインコートを愛用していて、プチバトーやエーグルといった老舗ブランドには、白や紺のほか、ピンクや黄色などのカラフルなコートが並んでいます。年々、自転車を愛用する人が増えていますが、そんな彼らにとってもまた、使い勝手の良いレインコートは大切な必需品です。先ほど、傘を持つ人が少ないと書きましたが、数年前からパリの人気コンセプトストア、メルシーで、日本製の透明のビニール傘が販売されているのを見てとっても驚きました! そもそも、長傘が売られていることが稀で、さらには15ユーロという決してお安い買い物ではないにも関わらず、珍しそうに手に取る人が案外多く、ところ変わればおしゃれな傘に映るのかなぁと面白く感じました。これからフランスも雨の日が増えて、日本の便利なレイングッズがどんどん人気になっていくかもしれません。