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「アクチュアリテ 社会」荻野雅代(トリコロル・パリ)

フランス人は今年のバカンスをどう過ごすのか?

 7月といえば、フランス人にとって一大イベントともいえるバカンスの季節です…と元気いっぱい言いたいところですが、この夏は新型コロナウイルスの影響により、いつものように好きな場所に旅行することが叶わない人がほとんど。普通ならば、飛行機のチケットを手配したり、キャンプ場やホテルを予約したりと、着々と準備を進めているはずの期間が、今年はいつ解除されるかも分からない外出制限の真っ只中にありました。5月11日から段階的に制限が解除され、20日に「7~8月は国内とEU圏内のみ旅行が可能」と政府が発表すると、それまでスタンバイだったホテル等の予約は瞬く間にコンファームされ、ラストミニッツのお得なプランを探して、大急ぎで準備に取り掛かる人が急増。フランス人のバカンスにかける熱量はやっぱりすごい! 100%望み通りにはならなくても、C’est la vie. とつぶやきながら、どんな苦境でも人生を最大限に謳歌する彼らのこと。できる範囲でバカンスを満喫する楽しいアイデアが続々と生まれそうな予感がしています。

 3月17日から約2ヶ月間続いた外出制限の間も、インスタグラムを通して、意外にもフレキシブルに対応するフランス人の持ち前のバイタリティに改めて驚かされました。#confinement(自宅待機)や#restezchezvous(うちで過ごそう)、#merciauxsoignants(医療従事者に感謝)、#masque(マスク)といった新しいタグが次々と生まれ、著名人のインスタライブ、人気シェフやパティシエによるレシピ紹介、毎晩8時に各地で鳴り響いた感謝の拍手の動画など、数多くの楽しい投稿が不安な気持ちを吹き飛ばしてくれました。#confinementcreatifや#confinementfoodのタグを見ながら、家ごもり中ならではの知恵を参考にして普段はしないDIYに挑戦してみたり、必要に迫られて人生で初めてパンをこねたりした人も多かったことでしょう。また、フランス人のインスタが手作りマスクの画像でにぎわう日が来るとは夢にも思いませんでしたが、個性的なモチーフの生地や創意工夫を凝らしたマスクを披露する人が多かったのも印象的でした。ブックカバーチャレンジやおすすめ映画の紹介、遠隔での合奏や音楽セッション、「あつまれ どうぶつの森」など、世界的ブームとなったゲームやチャレンジもフランスで同じく流行していました。

 外出制限という長いトンネルを抜けた今、たとえ理想のバカンスが過ごせなくても、景色を眺めながら散歩したり、人と会っておしゃべりしたり、テラス席でワイン片手においしい料理を味わったり、そんな何気ない普通のことが、「有り難い」と感じられる特別な夏休みになるかもしれません。

 最後に、私たちがナビを務めた今月の特集ページを参考に、この夏はフランスの空想旅行をお楽しみください!

◇初出=『ふらんす』2020年7月号

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著者略歴

  1. 荻野雅代(おぎの・まさよ)(トリコロル・パリ)

    パリとフランスの情報サイト「トリコロル・パリ」を運営。著書『おしゃべりがはずむ フランスの魔法のフレーズ』

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