第1回 フィリピノ語編
Moin! 白水社語学書編集部の(鷲)です。
先日、「語学書編集部員がニューエクスプレスプラス1ヶ月でやってみた」企画の爆誕を高らかに宣言いたしましたが、お読みいただけましたでしょうか?
https://webfrance.hakusuisha.co.jp/posts/8635
一笑に付されるかと思っていたのですが、前口上だけで思った以上に反響が大きく、数々の応援メッセージをいただき胸が熱くなりました。本当にありがとうございました。もうこれで終わってもいいくらいです。個人的に身の回りにはツチノコ並みに語学に興味がある人がいないので、こんなにも語学に興味がある人がいたんだ! と純粋に驚きでした。
さて、何の捻りもない記事タイトル通り、白水社のニューエクスプレスプラス(以下「NEX+」)を1ヶ月でやってみるという挑戦的な本企画ですが、その記念すべき第1回目の言語は……
フィリピノ語!!!
「○○語に挑戦してほしい」などと結構ご要望をいただいておりましたが、ご希望通り、予想通りでしたでしょうか? ところで、なぜフィリピノ語を選んだかと言いますと……正直わかりません。そこにあったからです。単語を1つも知らないレベルの未知の言語に挑戦しようと思っていた矢先、ふと天啓に導かれました。
フィリピノ語はフィリピンの国語であり、英語と共に公用語として定められている言語です。フィリピンに110余りあると言われる言語の中から、国語制定の動きの中でその母体として選ばれたのが、タガログ語でした。国語としてまとまった当初、「ピリピノ語」と呼ばれていましたが、「タガログ語以外も幅広く要素を取り入れよう!」とのことで、タガログ語になかったfの文字が組み込まれ、Filipinoとなったそうです。
フィリピノ語の歴史はざっとこんなものですが、実際はどのような言語なのでしょうか?本編に入る前に想像がついたかと思いますが、書いているうちに想定以上に長くなってしまいましたので、全部読もうと気負わずに読み流してくださいね。ChatGPTとかに要約してもらってもいいかもしれません。
何の参考になるのかはわかりませんが、透明性が求められる時代なので、毎日取り組んだ証拠としてノートの写真もあげておきます。
それでは20日間にわたる挑戦の記録をどうぞ!
1日目 第1課 1月6日(月)
フィリピノ語、あれ――。
こうして『ニューエクスプレスプラス フィリピノ語』が生まれ、1カ月の挑戦が始まりました。
いきなり第1課を始める前に、冒頭の発音解説ページをサラッと眺めます。なんということでしょう。フィリピノ語の発音は、声門閉鎖音(日本語の促音「っ」のようなもの)がちょっと難しいだけで、日本語母語話者にはそれほど厄介ではありません。発音がとっつきやすいというのは、大きなアドバンテージですね。
NEX+には各課にスキットがあり、全20課を通してストーリーが展開されます。フィリピノ語版は、主人公美帆さんのフィリピン留学生活がテーマです。私も1ヶ月語学留学した気分で取り組んでみます。最初の課なので初対面の定型表現などを学びました。
Ikinagagalak ko kayong makilala. お会いできてうれしいです。
長い。イキナガーガーラック コ カヨン マキラーラ。でも割とカタカナ発音のままでも通じそうです。発音が簡単だから余裕ではないかと、この時はまだ楽観視していました。本当の試練はこれから始まるのである。第1日目の出来事である。
2日目 第2課 1月7日(火)
どうやらフィリピノ語の単語のほとんどは、「接辞と語根」の組み合わせでできているようです。これがなかなかシステマティックで面白いです!
init 暑さ
名詞を形成する語根 tag- + init = tag-init 夏
動詞を形成する語根 -um- + init = uminit 暑くなる
こんな感じの接辞との組み合わせを一気に5個ぐらい紹介してもらいましたが、脳のキャパシティーを超えています。これは理屈ではなく、「習うより慣れろ」で練習しまくった方がよいのではと思い、問題を解いてみることに。(NEX+には2課ごとに練習問題がついているよ!)
「形容詞を作りたい? じゃあ語根にma-をつけろ!」みたいな感じなので、なんだかクイズみたいで楽しくなってきました。とても生産的です。「言語の経済性」とはこのことなのでしょうか。知らんけど。語学は一度文法を終えると、単語を覚える作業が大変ですが、フィリピノ語だと意外と楽なのかもしれません。
3日目 第3課 1月8日(水)
ついに基本文型と人称・指示代名詞を教えてもらいました。
フィリピノ語は基本語順がVSOと、日本語(SOV)や英語(SVO)とも異なり、直観的に理解することが難しいです。さらに表現次第で語順が変わるので、統語的には慣れるまで結構時間がかかりそうです。多分これ最後まで言っていると思います。
Hapon ako. (Hapon=日本人男性、ako=私) 私は日本人です。(男性)
1人称複数には「包括形tayo(話し相手を含む)」と「除外形kami(話し相手を含まない)」があるようです。しかし、言語によってある概念を区別するかしないかが違うのは、哲学的な側面もあって本当に面白いです。これをツマミにお酒が飲めるくらいです。
Hilaw pa ang santol. サントールはまだ熟れていません。
サントールなる果物を初めて知りました。NEX+では現地のグルメ事情もよく出てくるので、きっとフィリピンのソウルフードなのでしょう。また、「苦い」にもmapaitとmapaklaがあって、後者は熟れていない果物の苦さを表す用だそうです。いかにもフルーツが身近にたくさんあるがゆえの表現ですね。
4日目 第4課 1月9日(木)
なんか人称・指示代名詞がもう1セット出てきたんですけど……。正直いらないです。お通しみたいものでしょうか。
主語を表す「ang句」のときと、「~の」を表す「ng句」の時では、人称・指示代名詞の形が変わるようです。いや、別に変わっていただくのは結構なんですけど、もう少しこう何というか、手心というか……。二人称単数でいえば、主語の時にikaw/kaだったのが、ng句になると、moという原形をとどめていない変わり果てた姿になっています。代名詞を覚えるので精いっぱいになってきましたが、この先大丈夫なのでしょうか。
5日目 第5課 1月10日(金)
単語を修飾する際の「繋辞」のルールを学びました。「名詞を修飾する時は形容詞をそのままの形で使えない」というルールが課されました。でも形容詞を置く位置は名詞の前でも後でも良いという、嬉しいのかよくわからない規則がサービスとしてついてきます。
スキットではついに美帆さんのキャンパスライフが始まります。この課ではbakasyon、trapiko、semester、estudyanteなどのどこか見慣れた単語がたくさん出てきます。歴史的な理由から、やはり英語やスペイン語から取り入れられた語が多いようですね。吹込み音源でも原語に近い発音が意識されているようです。しかし全体の語順や接辞が複雑なので、単語を知っていても一度文全体を読んだだけでは全く意図がつかめません。
スキット中で現地の人と話しまくる美帆さんは、いったいどのようにして身につけたのでしょうか。
6日目 第6課 1月13日(月)
この日、世間は新成人の皆さんをお祝いする安息日ですが、語学に休みはありません。
フィリピノ語では文脈にニュアンスを出したりする「小辞」というものを文中に差し込むのですが、その小辞が頼んでもいないのに次々と出てきます。しかもどうやら小辞が複数現れる場合は、その語順が決まっているというわがまま仕様です。
na(すでに)/ pa(まだ)> nga(語調和らげ・強調)> din(~もまた) > lang(~だけ)> daw(伝聞)> po / ho(敬意)> ba(疑問)> 二音節の小辞
この順番の覚え方を絶賛募集しております。元素記号を覚えるときの「水兵リーベ僕の船」みたいな語呂合わせだと、かなり無理がありますね。いやよく考えたら「水兵リーベ」も意味わからなさ過ぎてなんだよって感じですが。
7日目 第7課 1月14日(火)
「~があります/ありません」に相当する存在文を習いました。これで知覚しうる万物をどんどん指し示せるようになりました。
ところで、フィリピノ語はとてもかわいいんですよ。araw-araw「毎日」、sari-sari「多用な」、iba-iba 「異なった」などの畳語がたくさんあり、響きがかわいくてつい口に出したくなります。インドネシア語にも似たようなものがあるらしいので、東南アジアの言語の間ではこの言語現象はよくあるのでしょうか? 語を繰り返すオノマトペだらけの日本語とも共通点があって親しみが湧いちゃいます。
8日目 第8課 1月15日(水)
前課で習った存在文を使った、所有の表現を習いました。主語によって疑問文の語順は少し変わるなど、語順がやっぱり難しいです……。勝手なイメージで、東南アジア系の言語って孤立語だから統語は楽勝でしょ、なんて高をくくっていましたが、ちゃんと血反吐を吐く思いをしています。
この日、SNSのタイムラインをぼーっと眺めていたら、hanggangという文字列が目に飛び込んできました。フィリピノ語で「~まで」という単語です。でもよく見たら英語の投稿でした。hanging outという文字列でhangingを空目していたようです。いよいよ思考回路がフィリピノ語に染まってきました。
9日目 第9課 1月16日(木)
また人称・指示代名詞の変化形の詰め合わせをいただきました。ありがとうございます~。こんなんなんぼあってもいいですからね。
場所を表す「sa句」専用のやつだそうです。しかも所有を表す表現にも使うらしいのですが、若干「ng句」の時とお仕事が被っているような気がします。
nanay ko 私の母(ng句)
(sa) aking nanay 私の母(sa句)
2つの表現間に微妙なニュアンスの違いでもあるのでしょうか。いずれにせよ、もう変化形はお返ししなくちゃいけないくらい貰っているので、これ以上増えてしまわないことを願っています。
10日目 第10課 1月17日(金)
比較・最上の表現を学びました。表現の幅もだいぶ増えてきて、例文や練習問題も複雑なものが増えてきました。以下の例文で、語順がどれほどややこしいかお分かりいただけるかと思います。
Mas mura ang saging kaysa sa mangga. バナナはマンゴーよりも安いです。
より 安い (主語の標識辞) バナナ よりも (場所の標識辞) マンゴー
語順に慣れず途方に暮れる中、諦観にあふれる素敵な表現に出会いました。
Ganito ang buhay ko. 私の人生はこんなもんです。
フランス語のC'est la vie. 的なエスプリを感じますね。が、1ヶ月でフィリピノ語をやる私の人生はこんなものではありませんので! ようやく半分のマイルストーンまで到達したので、最後までやり通してみせます。
11日目 第11課 1月20日(月)
ついに今日から読みガナなしです。NEX+は第10課まで読みガナがついている親切設計なのですが、後半の第11課からは読みガナと涙を隠しお別れです。
幸いフィリピノ語はラテン文字表記、発音も日本語話者には比較的簡単ですので、ダメージはそこまで大きくありません。でも寂寞たる思いがするのはなぜでしょうか。あなたのぬくもり、あなたのすべてを、きっと私忘れません。
この課では基本文型をさらに2つ学びました。簡単に言えば、日本語で「てにをは」を変えて「~は…です」、「~が…です」と表わすところを、フィリピノ語では語順を変えて表現します。また事がややこしくなりました。日本語学習者が「は」と「が」の使い分けに戸惑いがちなんて聞きますが、フィリピノ語の語順もフィリピノ語学習者の悩みあるあるなのかもしれません。
12日目 第12課 1月21日(火)
好き嫌いの表現を学びました。今のところ、フィリピノ語はギリ楽しさが勝って好きです。語順の難しさなど、今まで散々文句を垂れてきましたが、語学なんてそういうもんです。
主人公の美帆さんはBambooというフィリピンのバンドが好きなようです。というわけで聴いてみました。人生初F-ポップです。なかなかdopeかつchillでslayな曲ばかりではありませんか。Youtubeのコメント欄でフィリピノ語を読んでみようと思ったのですが、ファンの方々のアツいコメントの内容は全くわかりませんでした……。ただ、「2025?」だけはわかりました。「2025年も聴いてる奴おる?」です。この手のコメントは言語を超越してどこにでも湧きます。
13日目 第13課 1月22日(水)
この課からついに、今まで脇役に徹していた動詞について本格的に学びます。
フィリピノ語の動詞は「接辞+語根」から成り立つのですが、この接辞には「焦点・モード・相」の情報が詰まっているそうです。
mag- 行為者焦点・中立モード・不定相
i- 目的焦点・中立モード・不定相
焦点=どの補語が主語になるか
モード=行為の種類。中立・能力・偶然・経験・一緒にする など
相=いわゆるアスペクト。不定・完了・継続・未然の4つ
あまりにも欲張りで、一語に情報を詰めすぎじゃないでしょうか。学習者の気持ちも少しは考えてほしいものです。しかし、文法用語の響きはめっちゃかっこいい。「○解」や「領○展開」に通じる必殺技感がたまりません。
スキットの内容はクリスマスの準備でした。フィリピンではなんと9月からクリスマスシーズンが始まるそうです。ハロウィーン終了後すぐに封印が解かれるマライア・キャリーも、さすがにこれにはドン引きしていることでしょう。
14日目 第14課 1月23日(木)
動詞についてさらに詳しく教えてもらいました。行為者に焦点が置かれるmag-動詞と-um-動詞の登場です。しっかり活用もありますが、印欧系の言語と比べたらかわいいもんです。人称や時制では変化せず、「不定・完了・継続・未然」の4つの相で形が変わります。
「建てる」:語根 tayo
magtayo(不定相) nagtayo(完了相) nagtatayo(継続相) magtatayo(未然相)
一方で、接辞-um-は、活用するときに語根の間にサンドイッチされる、「接中辞」のようです。
「到着する」:語根 dating → 不定相 dumating
ドイツ語の過去分詞形もこんな感じでサンドイッチっぽいものがありますね。接頭辞・接尾辞は割とよく見るかと思いますが、間に挟むというものは結構レアな気がします。
15日目 第15課 1月24日(金)
動詞が続きます。mang-動詞、ma-動詞が怒涛の如くやってきました。まだ前の課で出た動詞の活用も覚えていないのに……。やはりこれも練習問題をこなして慣れていくしかないですね。
ちなみにこの日の晩は華金ということで飲み会がありました。二次会も誘われたのですが、「帰ってフィリピノ語をしなくちゃいけないので」というめちゃくちゃかっこいい断り方をしました。みなさんもぜひ使ってみてくださいね。もうお気づきかと思いますが、生活がこの企画に支配されています。
16日目 第16課 1月27日(月)
今日でようやく最終週に突入し、心機一転かと思いきや、まだ動詞が続きます。
行為の対象が主語になるi-動詞と-in動詞です。フィリピノ語の動詞は活用が大変なうえに、使う動詞によって主語や目的語、そのほかの補語の形も変わってしまうという複雑な仕組みです。
ふと、最終日のテストが怖くなってきました。同僚が作ってくれるのですが、フィリピノ語に関してゼロ知識らしいので、何が難しい文法かもわからず、きっとこの辺の活用も出してきやがります。乾坤一擲、とりあえず比較的簡単なmag-動詞と-um-動詞の活用にヤマを張ります。
17日目 第17課 1月28日(火)
もちろん動詞が続きます。知ってた。ここ数日、致死量の動詞を浴びています。
方向や場所の表現が主語になる-an動詞をご紹介いただきました。「活用しんどい笑」みたいな最低限の感想を言う気力もありません。
Humiram si Rita ng libro sa aklatan. リタは本を図書館から借りました。
Hiniram ni Rita ang libro sa aklatan. リタは本を図書館から借りました。
Hiniraman ni Rita ang aklatan ng libro. リタは本を図書館から借りました。
こんな感じで、どの語に焦点を置くかによって動詞や接辞などを都度変えなくちゃいけないようです。主語になる要素に合わせて瞬時に活用できるフィリピノ語上級者の方々はどうやって勉強しているのでしょうか……?
18日目 第18課 1月29日(水)
やっぱりこの課も動詞でした……。そろそろ誰か介錯してください。
動詞を形成する接辞は「モード」の情報も含んでおり、「中立・状況・参加」の3つのモードが、動詞の表わす行為にさらに意味づけをしているようです。
動詞が始まった第13課あたりから何を言っているのかよくわからないと思います。私もよくわかっていないです。すると、ちょうどこの課で、「私にもわかりません」がでてきました。
Hindi ko rin maintindihan. ヒンディ コ リン マイティンディハン
といいます。これから口癖になりそうです。
19日目 第19課 1月30日(木)
ついに動詞から解放されました!
gusto「好き・欲しい」、puwede「~してもよい・~できる」の表現を学びました。「疑似動詞」と呼ばれるもので、この子たちは活用しません! えらい! フィリピノ語ってこんなに楽しかったんだ。
ところで、これ完全にスペイン語のme gusto, puedoから来ていますよね。人名や基礎語彙にちょくちょくスペイン語があるのはわかりますが、こういった表現にまで浸透しているとはちょっと驚きです。「私はりんごがlikeよ」みたいな「ルー語」感。でも、フィリピノ語・スペイン語は両者とも開音節が多いなど、音韻論的には似通っているので、意外と違和感はないですよね。
スキットではシンバンガビの後、ノチェブエナでふるまわれるプトブンボンやビビンカについて初めて知りました。横文字の意味が気になる方は調べてみてください。
20日目 第20課 1月31日(金)
長く続いた挑戦もついに今日で最終日です! スキットでは、美帆さんが留学生活に別れを告げる落涙必至のラストシーンです。ちなみに文法では、不特定・特定の行為者や行為の対象を表す・尋ねる表現を学びました。
‘Di ba mayroong nanligaw sa iyo? あなたに言い寄った人はいないのですか?
―Walang nagsasabi sa akin. 私に何か言ってきた人はいませんよ。
ホストファミリーのおばさんも別れの惜しさあまりに、美帆さんにとんでもないことを尋ねています。
それにしても、1ヶ月完走した嬉しさのあまり、あまり内容が入ってきません。最後の練習問題もいつにも増して手ごわかったです。いよいよこのチャレンジの集大成でもある、力試しが待ち受けています。果たして結果はどうなるのやら?
力試し
難しかった……。和訳は何とかなりましたが、フィリピノ語訳はさすがに無理でした。語順が身についていないので、どの語から書けばよいかもわからない始末。完全解答だと目も当てられない点数になるので、泣きついて部分点込みにしてもらいました。50点以下だと再履修しろと言われています。運命の結果発表です……
57点
受かったああああああ!!!
あまりにもリアルな点数です。とにかく再履修を免れたことに大喜びなのですが、本当にギリギリ及第点ですので素直に喜んでいいのかわかりません。
テスト後に気づきましたが、よく考えたら「こんにちは」が言えません。文法を覚えることに必死でしたので、挨拶などの基本表現や、スキット中にたくさん出てくる便利フレーズが身についていませんでした。「会話を中心に学べる!」と謳っている本書のネガキャンになりかねないでしょうか。あともちろん、語彙力が圧倒的に足りません。機能語やbahay「家」などのよく出てきたものは覚えていたのですが……。それにしても、動詞活用のヤマ勘が見事に当たった時は脳汁があふれました。
ちなみに私が受けた力試しですが、お配りします。「フィリピノ語1ヶ月チャレンジに自分も挑戦してみたい!」という好事家の皆さんは、ぜひダウンロードして解いてみてください。
※()内の数字は、該当の例文が掲載されているページ番号です。
挑戦を終えて
ここまで読んでいただいたみなさま、お時間を割いていただきまして本当にありがとうございました。水回りの掃除とか、もっと他にやるべきことがあったんじゃないでしょうか。
ともかく、こうして無事に1ヶ月諦めずに終えられましたので、総括してみます。
力試しの結果から言えば、『ニューエクスプレスプラス フィリピノ語』は1ヶ月で、
だいたい6割ぐらいわかるようになる
ことがわかりました。(個人差による・要出典・要ファクトチェック・コミュニティノート不可避)
前提として、語学はやはり短期間で身につくものではありませんので、さすがに限界がありますね。語学書は用法・容量を守って正しくお使いください。それでも、知識ゼロで全くイメージの湧かなかったフィリピノ語ですが、語順や動詞の活用が複雑な言語なんだ、という正体を暴くことができました。一方で、語形成はシステマティックで面白かったり、発音はとても簡単で、練習問題の聴き取りなどもそこまで苦ではなかったり、学習においてモチベーションになりやすい要素もたくさんありましたよ!
散々不満たらたらでしたが、今となってはめちゃくちゃフィリピノ語に愛着があります。フィリピノ語を悪くいう奴は許しません。私のようにヨーロッパ系の言語ばかり学習してきたという方には新鮮な文法事項ばかりで、発見に満ちているかもしれません。おすすめです。
しかし、自社本に関して手前味噌すぎて申し訳ないのですが、膨大な文法内容をかいつまんで20課にコンパクトにまとめ、言語のだいたいの全体像が短期間でわかるようになっているのは、初学者には非常に頼もしい味方ですね。それを執筆なさった著者の先生に脱帽です。big upです。
……ていうか、もっとフィリピノ語勉強したくない? こんだけ語順とかが難しいんだったら、練習あるのみじゃん。でも市場にフィリピノ語の教材ってあんまり出回ってないし、やっぱり本格的に学べる参考書なんて無いか……。
……
ありました。
『フィリピノ語文法入門』
あの白水社から出ています。……すみません、この記事は「プロモーションを含みます」でした。
でも実際、たくさん例文を読み書きしたり、練習問題をこなしたりしないと、小辞や動詞の使い方などが身につかない言語だと身に染みてわかりましたので、おすすめです。NEX+では取り扱えなかった事項も盛りだくさんですので、本格的に学んでみたい方には必携の1冊です!
さて、有終の美(57点)を飾ったところで、これにてフィリピノ語編はおしまいです。長文・駄文に最後までお付き合いいただき、誠にありがとうございました。ぜひみなさんも、1ヶ月という縛り無しでももちろんOKですので、魅惑の言語・フィリピノ語を学んでみてくださいね。少しでもフィリピノ語コミュニティの輪が広がりますように……!
第2回に待ち受けている言語とは……!? 次回更新は4月予定です。お楽しみに!