みんな大好き! クレープにまつわるいろいろ
2月2日はシャンドルール(Chandeleur)の日。クリスマスから数えて40日目にあたり、幼子イエスが初めてエルサレムの神殿で神に捧げられたことを祝う記念日ですが、現在はどちらかというと、家庭でクレープを焼いて食べる日として広く知られています。もちろん、クレープはこの日だけに限らず、老若男女、誰もが日常的に楽しむフランスの国民食。パン屋さんにはジャムなどを塗っていないクレープ・ナチュール、スーパーには温めるだけの具材が入った塩味クレープが必ず置いてありますし、クレープリーと呼ばれるクレープ屋さんも、本場のブルターニュ地方はもちろん、フランス各地にあり、一般的なフレンチレストランと比べて価格も低めなので気軽に立ち寄ることができます。
クレープリーでバターだけのせたクレープ・ナチュールを午後のおやつに。素材そのものの味が楽しめる。
YouGovという調査機関が2021年に実施したアンケートによると、1年に1回しかクレープを食べないと答えたフランス人はたったの16%。そして、90%もの人が2月2日には食べると回答しました。クレープに何を塗って食べるかという質問には、ジャムやヘーゼルナッツペースト、塩バターキャラメルを抑えて、砂糖がダントツで票を集めました。そもそもフランスでは、フルーツやチョコソース、ホイップクリームといった具材をあまり入れずに食すのがおなじみで、小麦粉の風味を満喫するなら何も塗らないクレープ・ナチュールが最高、という人も多いです。クレープ屋さんでも、バターのみ、砂糖とレモンといったシンプルなデザートメニューが定番です。ちなみに、ミルクレープは日本生まれのお菓子でフランスでは見かけません。
クレープの折り方については、半分に折って三角にたたむ派が62%、くるくる巻く派が31%。こんなところにもこだわりが見えて面白いですね。蕎麦粉を使った塩味系ガレットは具材が入っているため、フチの折り曲げ方次第で三角にしたり四角にしたり、作る人やお店によってさまざまです。ガレットに入れる基本の具材はハム、チーズ、卵で、その3つ全てを入れたものをコンプレット(complète)と呼ぶのですが、全部のせ!という感じがして個人的に好きな名前です。
通常のフライパンよりもフチが浅いクレピエール(crêpière)は家でクレープを焼く時の必需品。ブルターニュ地方では、ホットプレートのような専用器具を持つ家庭もあり、大手メーカーの名前と同じクランプーズ(Krampouz)という愛称で親しまれています。皆さんも2月2日にクレープを焼いて、シャンドルールをお祝いしてみませんか?
◇初出=『ふらんす』2023年2月号