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「アクチュアリテ 社会」荻野雅代(トリコロル・パリ)

真夏に楽しむフレンチ・カクテル

 本格的なバカンスシーズンの到来です。スーパーや百貨店、チェーン展開しているブランド店などは変わらず営業しているとはいえ、多くの個人商店や飲食店が長期休業に入る8月は、人や車の数もぐんと減り、がらんとした夏休み特有の雰囲気が漂います。たとえ旅行者でにぎわうパリであっても、時間に追われて足早に歩くパリジャンの姿が少なくなるせいか、せわしない日常生活の香りが薄れているような気がします。あえて8月にどこにも出かけず、この、ちょっと浮世離れした不思議な空気感を味わうのもフランスの夏らしくて私は好きです。

 人のまばらなカフェのテラスに腰を下ろして、のんびりと冷たい飲み物を味わうのも8月の楽しみのひとつ。色鮮やかなシロップを使ったノンアルコールのカクテルは、より一層夏気分を盛り上げてくれます。ディアボロDiaboloは、シロップをリモナード(レモン風味の炭酸飲料)で割ったもので、ディアボロ・マント(ミント)やディアボロ・フレーズ(いちご)という風に、好みのシロップの名前を付けて注文します。ざくろシロップをオランジーナで割ったアンディアンIndienも赤みを帯びたオレンジ色にワクワクします。アルコール入りなら、生ビールをリモナードで割ったパナシェPanachéや、そこにざくろシロップを加えたモナコMonacoといったビールカクテルも昔から変わらないカフェの定番です。プロセッコとアペロールを組み合わせたイタリア生まれのカクテル、スプリッツSpritzもなぜかここ数年フランスで大流行しています。


カフェのテラス席でカクテル、アンディアンIndienを

 どんな季節にも欠かせないワインですが、太陽が照りつける暑い日に特に飲みたくなるのがキリッと冷えたロゼ。赤や白ワインほど飲む機会は多くない印象ですが、夕方のアペリティフの時間に軽く飲むのにぴったりです。キュビCubiと呼ばれる紙パック入りの安価な大容量ワインも、バーベキューやアペロなど、なにかと集まる機会の多いこの季節の風物詩かもしれません。そして、ロゼによく合う前菜といえば、生ハムメロン! フランスでは、メロンは2ユーロほどで手に入るとても庶民的な存在なので、夏の手軽な前菜としてよく食卓に上がります。炭火で焼いたステーキやソーセージの良い香りがそこかしこの庭から漂ってくるのも、8月のバカンスならでは。たとえ遠出ができなくても、ちょっとした楽しみを見つけて、短い夏を満喫したいものです。

◇初出=『ふらんす』2021年8月号

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著者略歴

  1. 荻野雅代(おぎの・まさよ)(トリコロル・パリ)

    パリとフランスの情報サイト「トリコロル・パリ」を運営。著書『おしゃべりがはずむ フランスの魔法のフレーズ』

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