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「アクチュアリテ アート&スペクタクル」岡田Victoria朋子

展覧会の新しい傾向

 昨今、美術館では新しい展覧会の形が模索されている。その中でも顕著なのが、女性アーティストを再評価しようという動きだ。フランスでは美術界に限らず、音楽界でも女性作曲家が非常に活発に取り上げられており、おそらく世界的にもその先端に位置すると言えるだろう。パリのプティ・パレでは、女性画家として重要なキャリアを築いたスペイン系フランス人画家、エヴァ・ゴンザレスの初の大規模な回顧展を開催している。マネの唯一の弟子で、メアリー・カサットやベルト・モリゾとも交流があった彼女の画業は、夫で画家・版画家のアンリ・ゲラールとの豊かなコラボレーションをはじめ、家族というサークルを中心に展開された。約100点の作品を通して、印象派とは一線を画しながらも時代の最先端をゆく、36年という短い生涯を年代を追って紹介する。1月24日まで。2月からはアムステルダムのファン・ゴッホ美術館に巡回する。


エヴァ・ゴンザレス展ポスター


Eva Gonzalès, Une loge aux Italiens, v. 1874. Paris, musée d’Orsay.
  © GrandPalaisRmn (musée d’Orsay) / Hervé Lewandowski

 もう一つの潮流は、これまで専門家にはよく知られていたものの、一般には知名度が低かったアーティストを積極的に紹介するものだ。ルーヴル美術館では、17世紀スペインの画家スルバランのモノグラフィー展を1月25日まで開催している。同時代に活躍したヴェラスケスやムリーリョにも匹敵する最重要画家と考えられているにもかかわらず、その名を聞いてすぐに代表作を思い浮かべられる人は何人いるだろうか。展覧会では、彼の作品群から特に優れた絵画を選び、それらを歴史的・文化的な出来事と関連づけて展示。その造形的な独創性を前面に出した構成となっており、40年以上にわたる長い芸術活動を、年代とテーマを巧みに組み合わせながら見せる。さらに、19世紀から20世紀にかけて彼が与えた影響も紹介している。


Francisco de Zurbarán, Sainte Casilda © Museo Nacional Thyssen-Bornemisza, Madrid

 東部アルザス地方のコルマール。ウンターリンデン美術館では、古美術と現代美術を見事に対応させた「Conversation(s)」というテーマ展が12月7日まで開催中だ。数百年の時代を隔てて制作された二つの作品をペアとして展示し、色合い、フォルム、テーマなどに見られる共通点が、私たちの目にどのような関係性をもって映るのかを提案する。このような縦横無尽なアプローチも、最近の傾向の一つだ。例えば、黒が印象的なホルバインによる女性の肖像画とスーラージュの黒を対比させたり、16世紀のレリーフ彫刻と1950年のオットー・ディクスの絵画を並べ、室内での受胎告知という共通のテーマのもとで、それぞれの時代の建物内部がどのように表現されているかを見比べたりするという具合だ。その説得力ある作品の選定眼に脱帽。


コルマールの「Conversation(s)」より セザールのコンプレッション彫刻と16世紀の宗教彫刻© Victoria Okada


コルマールの「Conversation(s)」より ホルバインの女性の肖像画とスーラージュの黒を対比© Victoria Okada

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著者略歴

  1. 岡田Victoria朋子(おかだ・ヴィクトリア・ともこ)

    ソルボンヌ大学音楽学博士、同大学院客員研究員。国際音楽評論家協会理事。翻訳家

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