ベルリンフィル@オルセー美術館/大津絵展
ベルリンフィル@オルセー美術館
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
© Stephan Rabold
世界最高峰のオーケストラの一つ、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団は、1989年にベルリンの壁が崩壊し東西ドイツが統一されて以来、毎年5月1日にヨーロッパ文化を象徴する場所で「ヨーロッパコンサート」を行なっている。アテネのアクロポリスやフィレンツェのヴェッキオ宮殿などに続いて、今年はパリのオルセー美術館が選ばれ、午前11時からワグナー、ドビュッシー、ベルリオーズというプログラムで演奏会が行われた。
指揮はパリ管弦楽団の現音楽監督ダニエル・ハーディング。かつての駅舎を改装した同美術館は、高い天井がつくり出す響きが豊富すぎるため、コンサートホールとしての音響は良くはないが、それを逆にうまく利用して音の重なりと彩りを存分に聞かせる演奏を披露した(ベルリンフィルのデジタル・コンサートホールのサイトhttps://www.digitalconcerthall.com/ja/home で視聴可能。その模様はNHK BS プレミアムシアターでも5月末に放送された)。オルセー美術館はこれを皮切りに世界の大オーケストラによるコンサートシリーズを開催する。次回は12月9日フィリップ・ジョルダン指揮パリ・オペラ座管弦楽団、2020年3月6日ユッカ=ペッカ・サラステ指揮パリ管弦楽団。また来シーズンは、現在ヨーロッパで最も活躍中の若手・中堅歌手を迎えての一連のコンサートも発表されている。詳細はwww.musee-orsay.fr
大津絵展
大津絵展1
© Gaelle Cloarec
江戸時代に、東海道の終着点、京三条大橋の手前の宿場、大津周辺で、大衆芸術として発展した大津絵。鬼、七福神、美人画、動物画など、さまざまな言い伝えや民衆信仰、日常的な娯楽を表現した絵を、主に型紙を用いて大量生産し、時には壁に貼って魔除けにしたという。日本では柳宗悦、浅井忠、梅原龍三郎などがコレクションし、ピカソやミロも所有していた大津絵は、浮世絵よりも大衆性が濃く、ゆるキャラの元のようなマスコット的な絵やフィギュアもあり、現在の消費文化にも通じる。ジャポニズム2018の延長という形で、ヨーロッパ初の本格的な大津絵展としてパリ日本文化会館で開催された。www.mcjp.fr/fr/agenda/otsu-e
◇初出=『ふらんす』2019年7月号