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「アクチュアリテ アート&スペクタクル」岡田Victoria朋子

ジャポニスム2018 展覧会と音楽会/アンジェ=ナント・オペラ公演

ジャポニスム2018 展覧会と音楽会

 ヴェルサイユ宮殿は、毎年恒例のコンテンポラリーアート展に写真家の杉本博司を招いている。マダム・タッソー蠟人形館所蔵のフランス史に関わりある人物たちをモデルに宮殿内で撮影した写真を、トリアノン宮や王妃の劇場などに配置。プラ・フォン池Bassin du Plat-Fond やふだんは非公開のフランスパビリオンでは造形作品も。2019年2月19日まで。 www.chateauversailles.fr


小トリアノン宮殿のベルヴェデール前に立つ杉本博司
© Tadzio

 パリ日本文化会館では縄文土器に光を当て、国宝6点、重文33点を含む64点を一挙に紹介。テーマごとに様式や技法の変遷がコンパクトにわかる展示となっている。2018年12月8日まで。www.mcjp.fr

 ギメ美術館はフランスで初めて明治時代に焦点を当て、開国後の動乱期を総括的に紹介している。カリリ・コレクションKhalili Collection からの多くの特別出品作を含め、日常で続けられていた伝統的な芸術・生活様式と、国力を示すために公式な場で採用された欧州スタイルの並存を巧みに見せる。欧州でのジャポニスム運動とそれをふまえた日本人芸術家によるジャポニスム様式の作品の比較も面白い。www.guimet.fr

 フィルハーモニーでは Week-end Japon と銘打って、林英哲・風雲の会による和太鼓、生の雅楽演奏をバックにした森山開次のダンスパフォーマンス、地唄の二代目富山清琴(人間国宝)と富山清仁による演奏会、児玉桃のピアノリサイタルなど、多彩に行われた。中でも財団法人文楽協会による「日高川入相花王(ひだかがわいりあいざくら)」渡しの段と「壺坂霊験記(つぼさかれいげんき)」では、竹本千歳太夫の独特の語りがパリの聴衆には大変新鮮に映ったようだ。第2回目のWeek-end Japon は2019年2月6 ~ 10日に開催。www.Philharmoniedeparis.fr

アンジェ=ナント・オペラ公演

 仏西部のアンジェとナントの両都市のオペラ座は、それぞれの個性を維持しつつ一団体として機能しているが、大規模かつオリジナルな公演を実現すべく、今年からブルターニュ地方のレンヌ・オペラと緊密な協力体制を敷き、一部で共同プログラムを組んでいる。その第一弾がベラルーシ・ボリショイ劇場の歌手を招いた《アレコ》と《イオランタ》公演。演出に近い動きで、コンサート形式には稀に見る迫真の公演だった。www.angers-nantes-opera.com

◇初出=『ふらんす』2018年12月号

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著者略歴

  1. 岡田Victoria朋子(おかだ・ヴィクトリア・ともこ)

    ソルボンヌ大学音楽学博士、同大学院客員研究員。国際音楽評論家協会理事。翻訳家

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