藤田嗣治 パリ里帰り展/イタリアの母は強し Viva la Mamma !
藤田嗣治 パリ里帰り展
「ジャポニスム2018」最後の大展覧会『藤田嗣治 生涯の作品(1886 ~ 1968)』展が、パリ日本文化会館で3月16日まで開催されている。1913~31年、1939~40年、そして1950~68年と、生涯に三度にわたってパリに暮らした藤田。最初の滞在ではエコール・ド・パリの寵児として名を馳せ、二度目は戦争を逃れてパリに来たものの結局帰国。最後はフランス国籍を取得し再び日本の地を見ることはなかった。昨年、東京・京都で43万人の来場者を集めた没後50周年記念展覧会を特別に再構成し、代表的な36点(うち20点が日本から特別出品、4点はパリ展のみの出品)を通して藤田の生涯にわたる芸術活動を追う。これまで紹介される機会がほとんどなかった1930~40年代の「旅の時代」の作品(ラテンアメリカ、中国、沖縄)や大規模な「作戦記録画」も、フランスで初公開されている。歴代フランス王の戴冠式の場として知られるランス大聖堂での藤田の洗礼(1958年)を伝えるニュース動画も紹介している。http:/mcjp.fr
イタリアの母は強し Viva la Mamma !
© stofleth
ロッシーニなどとともに19世紀前半のイタリアオペラの代表的作曲家であるドニゼッティ。ベルカントと呼ばれる流れるような朗々とした美しいメロディで知られるが、ドタバタコメディオペラも残しているのをご存知だろうか。題して『劇場的都合不都合』。副題の『Viva la Mamma !』は「おっかさん万歳」、もっと言えば「オカン最高」という方がピッタリくるかも。破産寸前のとある地方歌劇場で、劇場付き歌劇団が作品上演を目指すのだが、セコンダドンナ(2番目の女性歌手)の母アガタが、娘の役がさらに重要になるようにあの手この手を駆使。そこに作曲家兼指揮者、台本作家、歌手たちのエゴと思惑が絡み合って、奇想天外・抱腹絶倒なストーリーが繰り広げられる。ママ・アガタを演じ歌うのは男性のバリトン歌手。市場で1セントでも安く野菜を買おうと値切っているようなおばちゃん風の衣装で、音楽を何も知らず歌も歌えないのに歌手然として舞台稽古に登場する様子が爆笑を誘う。改装工事が間もなく終了するジュネーヴ大劇場に代わる仮設劇場Opéra des Nations の、最後の年末年始上演として大成功を収めた。https://geneveopera.ch/accueil/
◇初出=『ふらんす』2019年3月号