パリ・オペラ座ガルニエ宮150周年
先月号でお知らせした通り、1875年1月5日に杮落としが行われたパリ・オペラ座のガルニエ宮が、今年150周年を迎える。機関としてのオペラ座の創設はルイ14世の時代、1669年に遡る。ガルニエ宮の建設は、それまでル・ペルティエ通りにあったオペラ座の前で、皇帝ナポレオン3世と皇妃ウージェニーの乗った馬車が爆弾によって襲撃されたことを受けて決定された。設計の選定にはコンペが催され、ノートルダム大聖堂をはじめとする修復・再建ですでに名を馳せていたヴィオレ゠ル゠デュックなどのベテラン建築家をさしおいて、当時ほとんど無名だった若手のシャルル・ガルニエの案が採用された。ガルニエは皇帝に謁見して図案を説明した際、「歴代王のどの様式にもかなっていないが、この建築様式は何か」と尋ねられ、「ナポレオン3世様式です」と答えたことが決定につながったという逸話がある。
ともあれ、150周年を記念し、年間を通じてさまざまな催しが予定されているが、その第1弾として現在、館内にある国立図書館オペラ部門の展覧会スペースで、「オペラ宝飾」展が開催されている。展示品はオペラやバレエの上演で実際に歌手やダンサーが衣装とともに身につけていたもので、ほとんどがオペラ座付属のアトリエで制作されたものだ。その豪華さは有名なクリエーターの宝飾品に勝るとも劣らない。最後の展示室には、現在のアトリエの様子も展示されており、連綿と受け継がれてきた技術が今に生きている様子がうかがえる。また10月14日から来年2月15日まで、ガルニエ宮150周年をテーマにした展覧会が開催予定。
1月24日にはガラコンサートが開催され、テレビ・ラジオ・インターネットで世界中に生中継された。来る5月11日には主要メセナ(スポンサー)の一つであるロレックスの「アンバサダー・アーティスト」によるコンサートが、スター歌手、スターピアニストとウィーン・フィルハーモニー管弦楽団を迎えて開催される。
また、150周年をテーマにした特別ガイド見学が体験できるほか、オペラ座独自のプラットフォーム「Paris Opéra Play」(有料)では、『ドガの小さな踊り子』や『赤と黒』など、ガルニエ宮で初演された20世紀以降のバレエを中心に、豊かなラインアップが揃っている。
ガルニエ宮ファサード © Jean-Pierre Delagarde_OnP
大階段 © Jean-Pierre Delagarde_OnP
観客席 © Jean-Pierre Delagarde_OnP
オペラ座の怪人のボックス席の扉 © Jean-Pierre Delagarde_OnP
グラン・ホワイエ © Jean-Pierre Delagarde_OnP