年末年始は名作ミュージカルで!
かつてフランスでは、年末年始にオペレッタが盛況を博していたが、近年ではオペレッタに加えてミュージカルが定番となりつつあり、特にパリではその傾向が顕著だ。今年は、2つの超有名作品が舞台にかかっている。1つ目は、ブロードウェイ初演から60周年を記念して英語上演中の『ハロー・ドーリー!』。会場はかつて一世を風靡したキャバレーで現在は劇場となっている「リド」で、客席にせり出した比較的狭い舞台に合わせた完全新演出が新鮮だ。劇中では唯一の舞台装置がパーツを移動させることで4つのシチュエーションに早変わりし、オーケストラはその上階に陣取って舞台空間を最大限に活用している点が印象的だ。出演者は、タイトルロールを演じるキャロライン・オコーナーをはじめ、ロンドンやニューヨークの名だたる劇場で活躍する実力派ばかり。芸術チームも、演出のステファン・メアを筆頭に、トニー賞やオリヴィエ賞を受賞したベテランが揃っている。パリにいながら本場のミュージカルを堪能できる贅沢な舞台だ。
Hello, Dolly!のポスター
上演の様子 1© Julien Benhamou
上演の様子 2© Julien Benhamou
上演の様子 3© Julien Benhamou
上演の様子 4© Julien Benhamou
2つ目は、不朽の名作『レ・ミゼラブル』。もともとフランス語の「コメディ・ミュジカル」として1980年にアラン・ブブリルのシナリオとクロード゠ミシェル・シェーンベルグの音楽で初演されたが、1985年にキャメロン・マッキントッシュによる英語版で大ヒット。今回は、上記コンビが手がけた1991年のモガドール劇場での仏語版を、さらに改訂した新版での上演となっており、初演時の精神に立ち返りつつ、新しい要素を加えることで現代性を際立たせている。シェーンベルグ自身が「オペラ的」と評するこの全編歌唱のミュージカルでは、出演者がどこまで高いパフォーマンスを持続できるかが見どころだ。演出・衣装・舞台装置も一新され、原作者ヴィクトル・ユゴーの普遍的なテーマを体現する感動の舞台となっており、連日満員御礼の大ヒットを記録した。
Les Misérablesのポスター
ジャヴェール(左)とジャン・ヴァルジャン© Thomas Amoureux
コゼット© Thomas Amoureux
エポニーヌ© Thomas Amoureux
革命の闘士たち© Thomas Amoureux
さて、「おとぎの城」のような美しい外観を誇るパリ近郊のシャンティイ城では、閉館後に城内の部屋を巡りながら家族で御伽噺を楽しむクリスマス特別プログラムが好評を博した。また館内ではベルギーの最初の王妃ルイーズ・ドルレアンに焦点を当てた世界初の展覧会が2月16日まで開催されている。画才に恵まれ、ロマン主義の時代を生きた彼女の運命に思いを馳せることができる興味深い催しだ。
ルイーズ・ドルレアン展の展示風景 © Château de Chantilly
ルイーズ・ドルレアンの肖像 © RMN-Grand Palais Domaine de Chantilly-Mathieu Rabeau
家族の目を描いたメダイヨンが施されたブレスレット。いつも家族に見守られている気分になったという。© Musée Condé
クリスマスの時期には家族で楽しめる特別イベントが用意されている。© JB Quillien
ノルウェーの女性画家ハリエット・バッカー(1845-1932)展が1月12日までオルセー美術館で、スウェーデンの動物画家ブルーノ・リリエフォッシュ(1860-1939)展がプティ・パレで2月16日まで行われている。プティ・パレではまた、2月23日まで『毛の生えた女』で有名なフセペ(ホセ)・デ・リベーラ展も開催。いずれもフランスでは初めての大回顧展で、それぞれの画家の独自性と芸術的視点を詳細に伝える、充実した内容となっている。
ハリエット・バッカー『自宅にて』(1845年)© Victoria Okada
女性画家による女性著名人の肖像画も展示されている(ハリエット・バッカー展) © Victoria Okada
ハリエット・バッカー『ヨナスベリエットの農家』 (1892年)© Victoria Okada
自然の中で生きる動物を忠実に描いた絵には、画家の野生動物への愛情が感じられる。(ブルーノ・リリエフォッシュ展)© Victoria Okada
ポスターにもなっている雪うさぎ。(ブルーノ・リリエフォッシュ展)© Victoria Okada
額の装丁にジャポニズムの影響が見られる。(ブルーノ・リリエフォッシュ展)© Victoria Okada
リベーラ『毛の生えた女』© Victoria Okada
リベーラ『えび足の少年』© Victoria Okada
女性の決闘を描いた美術史唯一の作品『イサベラ・デ・カラッツィとディアンプラ・デ・ペティネルラの決闘』© Victoria Okada
避暑地として有名なノルマンディーのドーヴィルでは、10月から1月15日まで今年15回目となる写真祭「プランシュ・コンタクト」が街全体を会場に開催された。招待写真家はレジデントアーティストとしてドーヴィルと周辺の街をテーマに撮り下ろし作品を発表する。有望な若手写真家を集めたグループ展も。面白いのは、写真祭の一環として、10月27日土曜日、「25時間目」と題されたコンクールが一般を対象に行われた。冬時間に移行する際に発生する余剰の1時間を利用して、夜中の0時から1時にかけて街を撮影。応募写真は夜のうちにプリントされ、翌日曜の朝からレ・フランシスケーヌの回廊スペースに展示。写真祭の審査員が午前中に賞を発表、12時には授賞式が行われるというユニークな催し。
「25時間目」写真コンクールの受賞作品から。Concours photo La 25e Heure Longines © Marina Fosse
港にはノルマンディーの伝統産業を撮った作品が。Corinne Vachon, L'Héritage vivant de l'artisanat normand, Planches Contact 2024 © Cloé Harent.jpg (10)