モリエール賞とリールのモネ展
モリエール賞でのフランシス・ユステール © Maxppp - Fred Dugit (Midi Libre紙より)
モリエール賞をご存知だろうか。その年の優れた俳優や作品に与えられる演劇賞だ。正式名称はNuit des Molièresだが、通常Molièresと言われ、毎年4月か5月にパリの有名劇場で授賞式が行われる。第1回授賞式は1987年に開催。それ以降、毎年20ほどのカテゴリーでモリエールの像が授与されている。主催機関のアカデミー・モリエールは、俳優、劇場支配人、批評家、さらに劇作家、脚本家、衣装・装飾担当者などの演劇関係者が集うモリエール協会(1986年創立、初代会長は俳優のジャン゠ルイ・バロー)が運営している。この賞の特徴は、国から助成金を受けている国立劇場とそうでない私立劇場、およびジャンル(純粋な演劇、音楽劇、ユーモア、子供向けなど)で、公演日数などを中心とした受賞基準が異なること。授賞式は政府の文化政策や国際社会での位置付けなどを問う場にもなっており、活動家がセレモニーを中断して意見表明をすることもしばしばだ。
今年の授賞式は5月6日にフォリー・ベルジェールで開催された。司会を務めたユーモア俳優は、最近、文化活動に割り当てられる助成金が2億ユーロ強の減額となったことを受け、文化大臣のラシダ・ダティ氏に宛てて皮肉を込めたメッセージを発したほか、演劇業界の組合の代表が、助成金を削減された中小劇団が存続の危機にさらされていると訴えた。
また、セレモニーでは、演劇活動全体に敬意を表して贈られる「名誉賞」を受賞した俳優フランシス・ユステールが、近年稀にみる名スピーチを披露して話題になった。
モリエール賞授賞式の様子 © 公式サイトより
さて、印象派150周年を記念する展覧会の一環として、リール美術館では9月23日まで『ヴェトゥイユのモネ』展が開催中だ。同美術館所蔵の、モネが一時期住んでいたヴェトゥイユというセーヌ河畔の町を描いた絵画と、オルセー美術館から特別に借り入れた同じテーマの作品を中心に構成。また、アメリカの現代画家ジョアン・ミッチェルの絵画を別のスペースに展示し、モネとの関連性を提示する。彼女は 1968 年からヴェトゥイユのかつてのモネ邸のすぐそばに定住し、この地から多大なインスピレーションを得ていた。
モネ『ヴェトゥイユの夕日』 1900, Paris, musée d’Orsay (RF 2006) Photo © RMN-Grand Palais (musée d’Orsay) / Adrien Didierjean
モネ『ヴェトゥイユ、朝』 1901, Lille, Palais des Beaux-Arts © RMN-Grand Palais (PBA, Lille) / René-Gabriel Ojeda
リール美術館「ヴェトゥイユのジョアン・ミチェル」展入り口 © Victoria Okada
今年のモリエール賞授賞式
https://www.france.tv/spectacles-et-culture/emissions-culturelles/5932479-la-nuit-des-molieres-2024.html
フランシス・ユステールのスピーチ
https://fb.watch/s751BkyVoP/
https://www.instagram.com/reel/C6qc1xQrJpZ/?utm_source=ig_web_copy_link&igsh=MzRlODBiNWFlZA==