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「アクチュアリテ アート&スペクタクル」岡田Victoria朋子

コロナ禍の通行証〈パス・サニテール〉

 文化活動が通常体制に戻りつつあるフランス。6月9日から劇場などの観客数が収容数の65パーセントに引き上げられると同時に、夜の外出規制も23時以降に。6月末日からはこれらの規制が全面的に撤去された。しかし観客数1000人以上の会場では、48時間以内に実施された抗体検査またはPCR検査が陰性であるか、2回目のワクチン接種後2週間以上経っていることを証明する公式書類〈パス・サニテール〉が必要で、これを受けて、美術館や夏のフェスティバルも慎重な姿勢を見せている。


〈パス・サニテール〉のチェックに並ぶ観客

 例えば、演劇分野で世界最大級のアヴィニョン演劇祭(7月5~25日)では、約2000人収容のメイン会場、旧教皇庁中庭特設舞台で上記パスの提示を求めるほか、収容数が1000人未満の会場では原則的に65パーセントの観客数を守ることになっている。また、各公演の合間には客席を消毒する。このような制約があるにもかかわらず、公式招待演目の数は通常より多めの40演目。アヴィニョン演劇祭は、並行して行われる自主公演祭「オフ(Off)」(約1500演目、昨年は中止)を含めると、毎年1億ユーロ超の経済効果を生み出す一大イベントで、文化再生への試金石的な役割を担っている。 https://festival-avignon.com/

 同じく南仏で毎年開催されているラ・ロック・ダンテロン国際ピアノ音楽祭では、昨年はメイン会場のパルク・ド・フロラン内の2か所のみで、観客数を通常の約50パーセントに限り、また会期も縮小して開催された。今年はこの2か所に、市内の文化・スポーツ会館と、エクサンプロヴァンスのグラン・テアトル(リサイタル1回のみ)を加え、7月23日から8月18日まで、通常期間である4週間にわたって行われる。1800人収容のオーディトリアムに入るには上記のパスが必要。プログラムもリサイタルと室内楽が中心で、協奏曲でも大オーケストラはなく、ミュージシャンの間隔が十分取れる小編成の室内オーケストラが招待されている。 http://www.festival-piano.com/

 美術館では、入館者数をコントロールするため、時間予約制が導入されている。これまで時間予約制は、人気の大展覧会で、会期終了直前の混雑を緩和するために、主に深夜に導入されてきた。それがスタンダード化したと言えるが、これが今後も定着するかどうか、動向が注目される。

◇初出=『ふらんす』2021年8月号

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著者略歴

  1. 岡田Victoria朋子(おかだ・ヴィクトリア・ともこ)

    ソルボンヌ大学音楽学博士、同大学院客員研究員。国際音楽評論家協会理事。翻訳家

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