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「アクチュアリテ アート&スペクタクル」岡田Victoria朋子

年末年始、パリの劇場に行こう!

 年末年始は劇場にとっても書き入れどき。コロナ禍が一段落した今年の年末年始にどれだけ人を呼び込めるかは、多くの劇場にとって大きな課題となっている。そんな中、今年は大型スペクタクルが賑わいを見せている。

 まず、1970年代末に大人気を誇ったミシェル・ベルジェ作曲のロックオペラ『スターマニア』の新バージョンが、パリのセーヌ・ミュジカルで11月から1月末まで連日公演。今引っ張りだこの演出家トマ・ジョリーの演出、シディ・ラルビ・シェルカウイの振り付け、ニコラ・ゲキエール(ルイ・ヴィトンのレディースコレクション・アートディレクター)の衣装という豪華スタッフと、一新された舞台照明で、次から次へと繰り広げられるステージは圧巻。


大ヒットロックオペラ『スターマニア』
© DR

 今年営業を停止したシャンゼリゼ通りの有名なキャバレー「リド」は、年末から「リド2」と名付けられたミュージカル劇場となってリバイバルしている。アートディレクターは、シャトレ劇場の総裁時代に質の高いミュージカルを立て続けに上演してフランスにミュージカルの嗜好をもたらしたジャン=リュック・ショプラン。その最初の出し物は『キャバレー』だ。1966年初演以来多くの賞を受賞し続けているアメリカのミュージカルが、ロバート・カーセンの演出による英語上演で現代に蘇る。2月3日まで。

 根強い人気を誇るミュージカル『ライオンキング』が、モガドール劇場で上演中だ。同劇場のロングランが終了したのが10年前。2020年の再演予定が2021年秋に持ち越されたが、その人気によって再演も2年目に突入、2023年2月19日まで続く。


『ライオンキング』を上演中のモガドール劇場
© DR

 年末のバレエというとチャイコフスキーの『くるみ割り人形』か『白鳥の湖』が定番だが、シャンゼリゼ劇場では、ウクライナ国立バレエがアンデルセンの童話を基にした『雪の女王』を披露する。ディズニーの映画とは異なり、原作により忠実なストーリー。政治状況により、当初予定されていた『くるみ割り人形』に代わっての上演で、美しい衣装と素晴らしい踊りで展開するおとぎ話に、大人も魅了されること間違いない。1月5日まで。


ウクライナ国立バレエ『雪の女王』
© Ksenia Orlova


ウクライナ国立バレエ『雪の女王』
© Ksenia Orlova

『スターマニア』公式サイト https://www.starmania-officiel.com/
「リド2」公式サイト https://billetterie.lido2paris.com/
モガドール劇場公式サイト https://www.theatremogador.com
シャンゼリゼ劇場公式サイト https://www.theatrechampselysees.fr/

◇初出=『ふらんす』2023年1月号

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著者略歴

  1. 岡田Victoria朋子(おかだ・ヴィクトリア・ともこ)

    ソルボンヌ大学音楽学博士、同大学院客員研究員。国際音楽評論家協会理事。翻訳家

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