リール3000「フィエスタ」
フィエスタの開幕パレード © Alexandre Traisnel et Samuel Amez
2004年にヨーロッパ文化首都に選ばれて以来、リールはフランスでも有数の一大文化都市として非常にダイナミックな活動を展開している。3年ごとに開催される「リール3000」では、リール都市圏を構成する周辺都市を巻き込んで、11月9日まで多様な催しが目白押し。今年のテーマは「Fiesta フィエスタ」。何かと暗いニュースが世界を覆う中、リールが属するフランドル地方の古くからの伝統である「祝祭」を現代風に再解釈し、祭りを通して人々との絆を繋ぎ深めようという意図が込められている。4月26日には恒例の開幕パレードが賑やかに開催され、趣向を凝らした手製の衣装に身を包んだ人々が街を練り歩いた。今回のメイン展覧会は2つ。リール美術館での「フランドルの祝祭と祝典」展と、現代アートスペースであるル・トリポスタルでの「ポン・ポン・ピドゥー」展だ。
フランドルの祝祭と祭典 展より © maxime dufour photographie - copie
「祝祭と祝典」展では、ブリューゲルやルーベンスなどの絵画を中心に、16〜17世紀のフランドル地方における祝祭の様子を多角的に紹介している。不安要因のはけ口としての祝祭、道徳的・政治的手段としての祝祭という大きな2つのテーマを、戦争と祝祭、都市セレモニー、祭り・結婚式・村の祭典、そして王と朝廷の祝祭という4つの観点から探る構成だ。「ポン・ポン・ピドゥー」展は、改装修復工事で5年間閉館するパリ・ポンピドゥーセンターの現代美術館所蔵の多くの主要作品を一挙に公開するもので、引越し展の第一弾にあたる。ポップアート的な題名は、「フィエスタ」のお祭り気分を強調したもの。リール・フランドル駅に隣接する会場ル・トリポスタル(Tripostal)は、その名が示す通り、かつて郵便物の集配所だった場所。2004年のヨーロッパ文化首都選出を契機に現代美術館として生まれ変わった。また、貨物駅を改装して文化スペースにしたガール・サン・ソーヴール(Gare Saint Sauveur)ではインスタレーションなどを中心にした展覧会「Fête intérieure !」が開催されている。
Tripostal © Victoria Okada
ポン・ポン・ピドゥー展より Carlos Cruz-Diez, Environnement Chromointerférent © maxime dufour photographies
一方、パリのルイ・ヴィトン財団ではデイヴィッド・ホックニーの過去5年間の作品400点を集めた「ホックニー2025」展が8月31日まで開催中。幅数メートルにもおよぶ大規模な作品も多く展示されており、多様なモチーフとテーマを十分に楽しむことができる。
ルイ・ヴィトン財団のホックニー展より © Victoria Okada