オペラ・ロコス/ジョルダーノ展、エル・グレコ展……
オペラ・ロコス
The Opera Locos の舞台の様子
© Dominique Plaideau
年末年始には家族で楽しめるショーやコンサートが花盛りだが、パリのThéâtre Libre では2月2 日までオペラの有名なアリアにポップを盛りこんだショーが話題を呼んでいる。題してThe Opera Locos。ビゼーの『カルメン』、モーツァルトの『魔笛』、ヴェルディの『椿姫』、プッチーニの『トゥーランドット』など、必ずどこかで聞いたことのあるアリアをうまく継ぎ合わせて一つのストーリーに仕上げている。遊び心あふれる色とりどりの衣装をまとった5人の本物のオペラ歌手が、迫力ある声で歌いつつ、面白おかしく演技を披露する。声を失って酒に入り浸る往年のスターテノールと、彼に恋する若いソプラノ。男っぽい役柄を歌うバリトンと、技巧のカウンターテナーがオッフェンバックの『ホフマンの舟歌』で恋に落ちる。残ったメゾソプラノは相手がいなくて悲しむが、はてさてパートナーを見つけられるだろうか? 途中、歌手の「歌唱指導」もあり、客席全体が有名なコーラスを大声で歌う。日頃のストレス発散にはもってこいだ。セリフが全くなくジェスチュアだけでストーリーが進行するので誰にでもわかりやすく、オペラを知らなくても身近に大いに楽しめる。http://www.le-theatrelibre.com/index.php/fr/opera-locos
The Opera Locos の舞台の様子
© Dominique Plaideau
ジョルダーノ展、エル・グレコ展……
17世紀イタリアで最も独創的な画家の一人、ナポリ派の巨匠ルカ・ジョルダーノ(1634 ~ 1705)。フランス初の回顧展がパリのプティ・パレで2月23日まで開催中だ。ナポリのカポディモンテ美術館を中心に、彼の絵画を所有している同市の主要な教会や、プラド美術館などヨーロッパの美術機関から90点に及ぶ作品を借り入れ、一人の画家としては大規模な展覧会になっている。特に秀でていた巨大な絵画も多く展示されている。http://www.petitpalais.paris.fr
Arianne Abandonnée
グラン・パレではエル・グレコ展が開催中(2月10日まで)。傑作の《聖母被昇天》(シカゴ美術研究所蔵)が見逃せない。https://www.grandpalais.fr
リュクサンブール美術館の「イギリス絵画の黄金期」展では、レイノルズからターナーまで、テート・ブリテン所蔵の傑作を見ることができる。2月16日まで。https://museeduluxembourg.fr
◇初出=『ふらんす』2020年2月号