東京フィル会心の仏公演と文句なしに楽しめる年末年始のミュージカル
10月から11月にかけて7カ国を巡る欧州ツアー中の東京フィルハーモニー交響楽団は、11月4日にフランス南部トゥールーズで公演を行った。指揮は名誉音楽監督チョン・ミュンフン。ソリストにはトゥールーズでは約20年ぶりとなるヴァイオリン奏者マキシム・ヴェンゲーロフを迎え、ロシア音楽を存分に披露した。第一部のチャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲では、ヴェンゲーロフが超絶技巧と深い表現力で聴衆を圧倒。続く第二部では、プロコフィエフのバレエ組曲『ロメオとジュリエット』から10曲を取り上げ、繊細さと力強さを巧みに組み合わせた熱演で客席を魅了した。スタンディングオベーションが鳴り止まず、大成功の公演となった。
以前にも述べたが、近年フランスでは年末年始のミュージカルやオペレッタの上演が目に見えて増えており、今年は演劇専門の劇場までミュージカルを取り入れるほどだ。今年の目玉、シャトレ劇場の『ラ・カージュ・オ・フォル La cage aux folles』(映画版邦題『Mr.レディ Mr.マダム』)は、ムーラン・ルージュを思わせる華やかな衣装で観客を楽しませ、連日満席の盛況が続いている。ゲイクラブを営むゲイカップルを中心に展開する物語は、初演から半世紀を経た今、さまざまな結婚の形を受け入れる現代社会に直接強く訴えかけるものとなっている。元キャバレーであるリド劇場では、1967年公開の名作ミュージカル映画『ロシュフォールの恋人たち』が実際にミュージカルになって舞台に登場。映画でカトリーヌ・ドヌーヴと彼女の実姉が演じた双子役には、パリ・オペラ座でも活躍するオペラ歌手が起用され、ミュージカル出身の歌手との共演で多彩な舞台が生まれている。ほかにも、オペラ歌手を主演に据えたミュージカルでは、肉食植物がオーナーを食べてしまう『リトル・ショップ・オブ・ホラーズ』(ポルト・サン・マルタン劇場、2022年オペラ・コミック版の再演)も好評だ。また、フェリーニ映画の音楽で知られるニーノ・ロータ作曲のオペラ『フィレンツェの麦わら帽子』がベルギー・リエージュで上演された。これは1928年に映画化されたラビッシュの喜劇『イタリアの麦わら帽子』に着想を得た作品。モダンでカラフルな舞台が楽しく、気軽に笑える陽気な魅力にあふれている。

La Cage aux follesのポスター @Théâtre du Châtelet

Les demoiselles de Rochefort © Julien Benhamou

Petite boutique des horreurs © Fabrice Robin



