「ジャパン・マーベラス」フランスツアー/ロマン派時代のパリ展
「ジャパン・マーベラス」フランスツアー
和太鼓を中心に、日本の古典楽器を使いつつも伝統にとらわれない自由な発想のパフォーマンスを繰り広げる和楽団ジャパン・マーベラス。津軽三味線の葛西頼之とともに、6月8、9、10日に東部のベルフォールで、14日にはパリで公演を行なった。とくにパリ公演では、多彩なジャンルを幅広く紹介しているミュージック・ホール兼劇場のカフェ・ド・ラ・ダンスCafé de la danse で、世界各国の音楽をミックスして独自の世界を創り出すDJと共演。和太鼓の圧倒的な力と津軽三味線の目の覚めるような技巧に、DJから流れるエレクトロ系の音楽が絡み合い、会場は熱狂的な雰囲気に包まれた。フランスでの和太鼓人気をよく表したコンサートとなった。
ロマン派時代のパリ展
Arie Johannes Lamme, Atelier de l’artiste Ary Scheffer, rue Chaptal, 1851, huile sur bois, Paris, Musée de la Vie romantique, photo : Musée de la Vie romantique Roger-Viollet
パリ市営の美術館であるプチ・パレとロマン派美術館が共催する話題の展覧会Paris Romantique が9月15日まで開催されている。19世紀前半から半ばにかけて、パリはロマン派芸術の首都として多くの画家、音楽家、作家、詩人などを惹きつけ、豊かな創造活動が花開いたが、その全貌をなんと総数600点に及ぶ作品を通して広く紹介しようという大胆な催しだ。プチ・パレでの展覧会は、パリでの1 日を想定して、チュイルリー宮のサロンから出発。高級ショッピング街パレ・ロワイヤルのウィンドーを眺め、ルーヴル美術館の壁に所狭しと並べられた絵画を見、盛んだった政治議論に参加し、現在ロマン派美術館があるヌーヴェル・アテーヌ(新アテネ地区)と呼ばれた界隈で芸術家の生活に想いを馳せ、劇場がひしめき合うグラン・ブルヴァールGrands Boulevards でオペラ、バレエ、演劇などを鑑賞して1日を終えるという筋書き。最後の展示室には当時のピアノも置かれ、6月いっぱいまでプロのピアニストたちが週2回立ち代わりで解説つきのミニコンサートを開催した。画家アリ・シェフェールのアトリエだったロマン派美術館では、テーマとして芸術サロンを扱っている。プチ・パレでは「ドイツロマン派展」として、ワイマール美術館のデッサンコレクションを一挙に公開する展覧会も同時開催。
http://www.petitpalais.paris.fr/
http://www.vie-romantique.paris.fr/fr
◇初出=『ふらんす』2019年8月号