「パリ解放」博物館オープン/大岩オスカール展/フランシス・ベーコン展
「パリ解放」博物館オープン
Musée de la Libération
1944年8月25日のナチス・ドイツ占領下からのパリ解放は、第二次世界大戦での連合国勝利に大きな一歩をしるした。その歴史を豊富な資料によって誰にでもわかりやすく紹介するパリ解放博物館が、75周年の本年8月25日にオープンした。正式名称はMusée de la Libération de Paris - Musée du général Leclerc - Musée Jean Moulin といい、レジスタンスの主要人物だったルクレール将軍とジャン・ムーランゆかりの2博物館を吸収・統合・拡大したもの。モンパルナス駅界隈の旧博物館を、パリ南部ダンフェール・ロシュローにあった地下司令部の真上に位置する建物に移転させ、当時のまま残る地下司令部を終戦以来初めて解放。ヴァーチャル・リアリティ・メガネを装着すると兵士の案内で司令部を仮想体験できる。博物館には実際に戦時中の人々が所有していた品も多く、単なる歴史解説に止まらず、人間的な視点から歴史を後世に伝えていこうという姿勢が強く伺える。常設展入場無料。http://www.museeliberation-leclerc-moulin.paris.fr/
大岩オスカール展
アトリエで制作中の大岩オスカール
Photo courtesy : Oscar Oiwa Studio, NY
日系ブラジル人アーティスト、大岩オスカールが、リオ・デ・ジャネイロ、東京、パリという3つのオリンピック開催都市の顔を描く展覧会が、パリ日本文化会館で開催中だ(12月14日まで)。「トランスフィア」シリーズの第6回として、作品は全てこの展覧会のために制作された。今年4月から8月まで金沢21世紀美術館で開催された個展では27メートルの壁に描かれたドローイングが話題になったが、本展でも壁いっぱいに3部作が展示されている。入場無料。https://www.mcjp.fr/fr/agenda/oscar-oiwa
フランシス・ベーコン展
Bacon Triptych Inspired by the Oresteia of Aeschylus
今秋の目玉展覧会の一つ、フランシス・ベーコン展がポンピドゥーセンターで開催中だ。ベーコンの本棚から6冊の書籍を厳選し、それと呼応する絵画を紹介するという新しいアプローチ。それは文学をどう見せるかという試みにも通じている。展示されているのはグラン・パレでの回顧展の年1971年から死の1992年にかけて制作された作品。大規模な三部作12点が一堂に会しているのも特徴。https://www.centrepompidou.fr
◇初出=『ふらんす』2019年11月号