2017年9月号 一年で一番長い日
一年で一番長い日
正午には、聖堂の中央に太陽光が一列に並ぶ
作家ロマン・ロランが晩年を過ごしたブルゴーニュ地方のヴェズレーVézelay。毎年6 月21 日の夏至の日は、「一番長い日Le jour le plus long」と銘打って、日の出から日の入りまで、音楽を中心に趣向を凝らした催しが。今年のテーマは「鳥の歌」で、5 時22 分の日の出に合わせて、12 世紀ロマネスク様式の聖堂横に約30 人が集合。常連もおり、すでに歓談が弾む。鳥の鳴き声と色々な拍動・振動の音をアレンジしたサウンドインスタレーションが裏手の木立ちにぴったり溶け合い、気持ち良い。午後には家族で人形音楽劇「奇妙な鳥 Drôles dʼoiseaux」を楽しんだ後、鳥の鳴き声をテーマに多くの作品を残した仏作曲家メシアンについての講演会。20 時には若手メシアン奏者として随一のM. ヴェルムランMarie Vermeulin のピアノリサイタル。そして21 時15 分の日の入りを再び自然の中で迎えた。
バルコニーでオーケストラ
アリーグル広場を見下ろすバルコニーコンサート
7 月6、7 日、パリ12 区のアリーグル広場Place dʼAligre に面する建物のバルコニーがコンサート会場となった。携帯の着信音、犬の鳴き声、赤ん坊の泣き声、ドアのピンポン音など、建物の住民の日常の生活音を録音・ミキシングしたオケ曲をP. ソヴァジョPierre Sauvageot が作曲、「世界初演」となった。バルコニーのあちこちに散らばったパリ室内オーケストラのミュージシャンは、ヘッドフォンから流れる音を頼りに演奏。困難なバッハの編曲も見事にこなし、大喝采を受けた。9 月末にはベルギー、10 月初めにはマルセイユ、2018 年にはオーストリア、デンマーク、アメリカでの演奏が決まっている。 http://www.2r2c.coop
◇初出=『ふらんす』2017年9月号