2017年8月号 ル・バル・ブロメ、再オープン
ル・バル・ブロメ、再オープン
Salle Bal Blomet © Gilles Moisset
パリ15 区、「ブロメ街のバルLe Bal de la rue Blomet」略称「ル・バル・ブロメ」は、ベルエポックから1950 年代にかけて、ジョゼフィン・ベーカー、ミスタンゲット、コクトー、藤田嗣治、マン・レイ、ミロ、プレヴェール、サルトルなど、モンパルナスの芸術家たちがこぞって夜を楽しんだ場所。黒人アーティストが多く出演したことから「ル・バル・ネーグルLe Bal Nègre」の通称で親まれ、ジャン・ギャバンとジャンヌ・モロー主演の映画『現金(げんなま)に手を出すな』にも登場した伝説のミュージックホール。
ここが、大規模な工事を経て、今年3月末に再オープンした。200 席のこじんまりとした観客スペース横にはバーがあり、コンサートの1 時間ほど前から友人や家族が集まって軽食をとり、その後グラスを傾けながら手が届くほどの距離で繰り広げられるショーを楽しむ。往年のパリのエスプリが現代に息づく左岸の注目スポット。http://www.balblomet.fr
カイユボットの家、再オープン
Le Casin © Christophe Brachet
パリ南郊20 キロのイエールYerres という街に、1860 年から79 年にかけて印象派の画家カイユボットが家族と住んだ家がある。11 ヘクタールの庭園に囲まれた家はフランス革命以前から存在しており、1820 ~ 40 年代にはバルザックも賞賛した料理人(シェフ)ボレルPierre-Frédéric Borel が住んだ。当時の資料やカイユボットの絵画に基づいて、すべて画家の時代のものに再現。上階の寝室は一見の価値あり。カイユボット家が当時所有していたナポレオン1 世様式の家具が数年前競売にかけられた際、国立家具博物館Mobilier national の協力も得てその大部分を入手、修復を経て再び部屋を飾っている。この時代の富裕層の室内が、当時の家具によって忠実に再現された稀な例として、貴重な空間となっている。
http://www.proprietecaillebotte.com
◇初出=『ふらんす』2017年8月号