シーズンの幕開けは演劇とダンスで
例外的な酷暑に見舞われた夏を終え、各劇場では9月中旬から徐々に新シーズンが開幕する。今回は演劇とダンスに焦点を絞り、注目される演目を紹介しよう。
まず、本拠地の劇場が改装工事中のため、今シーズンは主な演目が引越し公演となるコメディ・フランセーズ。ガルニエ宮から徒歩5分ほどのアテネ劇場では、ジャン・ジュネの『女中たち』を上演する。実際にパリで起きた女中姉妹による奥方殺害事件を題材とした作品で、ジュネ自身も犯罪を繰り返し、執筆当時は服役中だった。特異な物語を、これまでとは異なるアプローチによる新演出で見せる。10月25日まで。同劇団では、マルグリット・デュラスの『ラ・ミュジカ第二』にも注目したい。ヴィュ・コロンビエ劇場で、「彼」と「彼女」が交わす日常の言葉と詩的な言葉が入り混じった会話を、映画監督としても知られるアルノー・デプレシャンが演出する。現時点では邦訳がないようなので、フランス現代戯曲に関心のある読者には必見だ。11月11日まで。パリから1時間あまりのトゥール、オランピア劇場では、米国の劇作家ユージン・オニールの『喪服の似合うエレクトラ』を10月13~15日に上演する。古代ギリシャのアイスキュロスによる悲劇三部作『オレステイア』を南北戦争期のアメリカに置き換えた作品。現在フランスで最も注目される若手演出家の一人、グウェナエル・モランの劇団による新演出で、今年のアヴィニョン演劇祭で初演されたばかり。アヌシー、リヨン、ボルドーなどを巡回する。

アヴィニョン演劇祭での『喪服の似合うエレクトラ』
© Christophe Raynaud de Lage Festival d'Avignon
コンテンポラリー・クリエーションが盛んなフランスのダンス界からも、個性豊かな作品が登場する。その拠点の一つであるシャイヨ劇場では、10月20日に「Pouch」を迎える。パリ北西部の郊外オーヴェルヴィリエ市に位置するPouchは、270人を超えるアーティストの活動を支援・伴走し、地域に根ざしながらも国際的な視野を持つ文化施設で、展覧会をはじめさまざまなイベントを開催している。同劇場では、「フェスティヴァル・ドートンヌ」の一環として、障害のある人々の創造的な可能性と成長を支援するポルトガルのダンスカンパニー、Dançando com a Diferençaとモロッコ出身の振付家ブシュラ・ウィズゲンのコラボレーション作品による『Este Mundo』を10月8~10日に上演する。

Este Mundo
© Júlio Silva Castro

Este mundo
© Paulo Pimenta
リヨン・オペラでは、スウェーデンの振付家マッツ・エックによるストラヴィンスキーの『春の祭典』が。1913年の初演で音楽史上最大級のスキャンダルを巻き起こした作品を、エックが独自の観点から読み替える。2027年1月には、初演の舞台となったシャンゼリゼ劇場でも再演される。11月3~14日。

Le Sacre du printemps
© Ash

Le Sacre du printemps 2
© Ash

Le Sacre du printemps 3
© Laurent Liotardo



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