ノルマンディー印象派フェスティバル
2年ごとに開催され、今年で6回目となる「ノルマンディー印象派フェスティバル」。モネ没後100年にあたる今年は、彼が丹精を込めて育てたジヴェルニーの庭園を想起させる「Un possible jardin」をテーマに掲げた。晩年に抽象表現へと向かったモネのモデルニテに敬意を示す意味も込め、ノルマンディー全域43ヶ所で計75のコンテンポラリーアート・プロジェクトが展開されている。美術館のみならず、公園や庭園など屋外での催しも32にのぼり、地域全体が「庭」と化すような広がりを見せる。
象徴的な企画のひとつが、蜷川実花によるルーアン大聖堂のマッピングだ。ファサードには色鮮やかな花々が降り注ぎ、鯉が泳ぎ、そこに東京のネオンが重ねられる。モネの庭園や浮世絵コレクションに通じる日本への憧れを、現代的な感性で翻案した光景とも言える。ル・アーヴルのアンドレ・マルロー近代美術館では、現代中国を代表するアーティスト、アイ・ウェイウェイが市販のレゴブロック65万個を用いてモネの《睡蓮》を再構築。パープル系とオレンジ系の2種が展示される。右側に黒い入口のような形が見えるが、これは文化大革命期に家族が所有していた西洋美術関連の書籍や美術品を手放したり焼却され、自身も強制収容所に送られた記憶を象徴する「闇への扉」だという。社会運動家としての側面が強く表れた作品でもある。これらを含む「ル・アーヴルのモネ」展では、初公開を含むモネ青年期の作品も並び、この夏の目玉企画となっている。

Mika Ninagawa © Singuliers Plurielpour Normandie Impressionniste

Ai Weiwei, Water Lilies #1 © Laurent Lachevre

Ai Weiwei, Water Lilies #2 © Laurent Lachevre
三つ目は、「霧の彫刻家」と呼ばれる中谷芙二子によるFog Tree Honfleur #07031。オンフルールの広い芝生の公園に立つ一本の木から霧が立ちのぼり、天候や風に応じて姿を変える「束の間の芸術」だ。さらにパリの Bourse de Commerce(フランソワ・ピノー・コレクション)で開催中の「Clair-obscur」の一環として、屋内円形ホールではCloud #07156を鑑賞できる。筆者の問いに中谷は、「明暗というテーマの中で、私は『暗』よりも『明』を表したかった。屋外と違い、霧を室内に適応させることが難しかった」と語った。

Fujiko Nakaya © Singuliers Plurielpour Normandie Impressionniste

Fujiko Nakatya Cloud #07156 © Victoira Okada



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