若者に大人気のアジアン・ストリートフード

若者の間で大人気のファストフード、クルスティ・チキン
不況とインフレの煽りを受け、外食シーンにおいてストリートフードがますます大きな位置を占めるこの1、2年、とりわけZ世代に人気の一品がある。「クルスティ・チキンcrousty chicken」と呼ばれる、タイ米の上にフライドチキンを乗せ、こってりしたソースをたっぷりかけたものだ。ボルドー郊外でパッタイやボブンなどアジア系ストリートフードを販売していたレストラン「クルスティ・ザバイディKrousty Sabaïdi」がこの一品で大当たりし、現在では20数軒を誇るチェーン店に拡大したのを見て、「テイスティ・クルスティ」などの他店も参入したのがブームの発端とされている。値段も平均10ユーロと、バーガーなどのセットの値段とさして変わらず、量も申し分ない。
ご飯の上に唐揚げ、と聞けば、日本人は唐揚げ丼を思い浮かべるに違いない。フランスでもクルスティの流行以前すでに、日本食が家庭料理や大衆料理に広がるなかで唐揚げが人気を集め、そば屋などでも唐揚げ丼がメニューに並ぶだけでなく専門店までできている。韓国由来のストリートフードでもやはり唐揚げがダントツの人気で、厚めの衣でサクサクした食感、甘辛コチュジャンで味付けをした一品はどの韓国料理店でも定番だ。
ブームの火付け役がアジア料理のレストランだったことからもわかるように、おそらくこの料理は間接的に唐揚げ丼、さらにいえばマヨネーズをかけた、マヨ唐丼に由来しているのだろう。しかし、ご飯をタイ米にし、唐揚げの鶏肉を、イスラーム文化圏に属する移民二世、三世にも抵抗がないようにハラルにすることで、この一品は国境を超えて若者の胃袋をむことに成功したのだと言えるだろう。また、最近流行りの料理の大方がそうであるように、「クルスティ」もTikTokで拡散されたことで、若者に1度は試したいと思わせる現象になったのだ。
クルスティ・チキンは、消費者だけではなく、店にとっても「おいしい」一品だ。季節を問わず廉価で安定供給の可能な米とチキンを材料とし、ソースやスパイスを変えるだけで無限に種類を増やすことができるからだ。
当然、思春期の子供を持つ親世代はこの現象に眉をしかめる。ブロイラーの輸入鶏肉を用い、マヨネーズなどカロリーの高い材料をベースにしたインダストリアルなソースをかけたこの一品がヘルシーと呼ぶには程遠いことは明らかだ。いずれはこのブームは終わりを告げるだろうと予想する向きもある。しかし、日本で唐揚げが世代を超えて定番になっているように、こういった料理が定着しないとは誰にも言えない。クルスティは今後新たなケバブ、またはポキ丼の地位を獲得するのだろうか。



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