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「アクチュアリテ 食」関口涼子

スパイスを味わうノンアル飲料

 「ドライ・ジャニュアリー」の話題は、この欄でもここ数年に渡って1月に取り上げているが、近年すっかり定着した感がある。この時期にはディナーに人を呼んで、ノンアルコール飲料を用意するのがスマートだという風潮になったが、かと言ってお水だけというのもさみしい。

 そんな時に便利な本が出版された。Boire les épices、スパイスをコンセプトにしたレシピ集だ。スパイス、生ハーブや乾燥ハーブ、柑橘類や果物、オレンジフラワーウォーターやローズウォーターなどを使い、バラエティに富んだレシピが展開されている。もちろん、モクテル(ノンアルコールのカクテル)のレシピにも事欠かない。ジントニックのようなノンアルドリンクや、ホットワイン、ピナコラーダと勘違いしてしまうようなスパイス使いのカクテルはうってつけだろう。

 この本はもちろんアルコール飲料の代用品だけを目的に作られたものではないから、例えば、スパイスを入れたコーヒー(カフェラッテ・マサラや、カルダモンコーヒーなど)や、スパイスを入れたクリスマスティー、変わったところではサフランティーなどもある。はちみつレモンに生姜と胡椒を入れた温かい飲み物も美味しそうだし、バラとサフランのラッシー、アーモンドミルクを冷たいマサラチャイ仕立てにしたものなどは、おやつの時間によく合いそうだ。実際にいくつか試してみたが、ヒントとしてとても便利なのが、フルーツジュースにスパイスを加えて、一晩置いて味を染ませたもの。大人の味になって、朝食時に飲むのにも、アペリティフタイムに楽しむのにもぴったりだ。洋梨と山椒、グレナデンシロップにタイムとオレンジフラワーウォーター、また、自家製ジンジャービールにターメリックやカルダモン、変わったところではサフランを混ぜたレシピなどもある。

 パーティーなどにお酒がないと物足らないという人の中には、必ずしもアルコールを飲みたいというわけではなく、気持ちが盛り上がるようなものを口にしたい、という理由でアルコール飲料に手を出していることがあるかもしれない。この本に掲載されているレシピは、基本的にどれにもスパイスが使われているから試したい気持ちになるし、糖分は抑えめ、または全く入っていないものも多いので、アルコールを飲まない時のオプションが甘いドリンクしかなくて困っていた人にも歓迎されるだろう。最初は単にアルコールを控えましょうというところから始まったドライジャニュアリーだが、最近は創造性に満ちたレシピ集もこのように現れてきていて、これをきっかけに大人のノンアル飲料のチョイスがぐっと広がりつつあるのは嬉しい。

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著者略歴

  1. 関口涼子(せきぐち・りょうこ)

    著述家・翻訳家。著書Fade、La voix sombre、訳書シャモワゾー『素晴らしきソリボ』

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