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「アクチュアリテ 食」関口涼子

フランスで料理番組のポッドキャストが花盛り

 フランスでは今、ポッドキャストがどの分野でも花盛りだが、料理分野も例外ではない。ラジオの既存料理文化番組としては、スターの料理ジャーナリスト、フランソワ・レジス=ゴードリが司会を務める、フランス・アンテール局の「On va déguster(さあ食べましょう)」、フランス国際ラジオ局の「Le goût du Monde(世界の味)」、フランス・キュルチュール局の「Les Bonnes choses(おいしいもの)」などがあるが、料理に特化したポッドキャストは、「Ceux qui nous lient(私たちをつなぐもの)」「Bouffons(食べよう)」「À poêle (「火にかける」と「丸裸」の掛言葉)」「L’Épicurieuse (「エピキュリアン」と「好奇心の強い女性」の掛言葉)」など、代表的なものだけでも20以上の無料で聴けるネットラジオがこの2年ほどで次々と現れ、テーマも登壇者も様々に、番組を提供している。

 これらのポッドキャストは、制作会社がスタジオを持ち、複数の番組を制作していることが多い。企業とパートナーシップを組んだり、広告的な番組を作ったり、メディアやブランドのポッドキャストを制作したりで収入を得て、それを他の文化的な番組制作に当てている。その点においては、昔ながらのゲリラ的なラジオ番組とは少々成り立ちが異なる。人気のある番組は十数万人のリスナーを誇ることもある。

 リスナーの多くは、15歳から35歳。親の代が聞いていた、より不特定多数のリスナーを対象とした既存のラジオ番組より、より自分の興味に特化した番組を選ぶという傾向がある。ポッドキャストの制作会社、番組構成・司会や登壇者なども20代から30代の若い世代であり、同時代感が受けているのだろう。既存のラジオ局の番組よりもより砕けたトーンでのトークも多く、親近感が抱ける点も大きい。制作のシンプルさから、既存の料理サイトや料理雑誌が、ボーナストラックとしてポッドキャストを提供することも増えてきた。個人的にオススメなポッドキャストは、最近リスナーの伸びが著しい人気番組、「Les Casseroles(お鍋)」。番組構成・司会を担当するのは若い女性料理ジャーナリストのザジ・タヴィティアン。毎回、「料理批評家に対する幻想」「なんでみんなイタリア料理が好きなの?」「ユダヤ料理は存在する?」「グルテンフリーは単なる流行?」など、社会的な見地を交えた独自な切り口から料理文化を切り取っている。
https://podtail.com/fr/podcast/casseroles/

◇初出=『ふらんす』2019年7月号

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著者略歴

  1. 関口涼子(せきぐち・りょうこ)

    著述家・翻訳家。著書Fade、La voix sombre、訳書シャモワゾー『素晴らしきソリボ』

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