エコロジーなレストランの新たな格付け
最近は様々なランキングが百花繚乱の気味があり、ラ・リスト、ワールド50ベストレストラン、ザ・ワールド・レストラン・アワードなど、あまりにも多いので、どのランキングがいかなる価値で何を選んでいるのか混乱してしまうくらいだ。そんな中、ささやかではあるが、新しい格付けの試みが始まっている。去年創設された「エコターブル」という団体は、現在フランス各地の70軒のレストランを格付けしている。カテゴリーには、ヴェジタリアン、ヴィーガン、オーガニック、地産地消、サステイナブルシーフード、持ち帰り可能、フードロスゼロなどがある。最近増えたヴェジタリアンの要望に答えるだけではなく、有機農法の野菜でできた料理を食べたい、外食することでフードロスに加担してしまうのは気がひける、などと考えている人には朗報 だ。良い食材を選んでいるシェフの料理は信頼できるという部分もある。
「エコターブル」は、味の評価をしているわけではないが、選ばれている店を見ると、どれも、ナチュラルで体に良いだけではなく、結果として味も良いレストランが選ばれていることがわかる。
この団体はまた、まだ100パーセント価値基準を満たしていないがよりエコロジーな取り組みをしたい店に対するアドバイスも行っている。新しい価値でレストラン革命を起こそう、というこの団体の動きは、 特に若いジャーナリストの賛同を多く得ていて、一般の消費者に対する啓蒙活動としてポッドキャストの放送なども始まった。「放し飼い養鶏はマーケティングなのか真のエコロジーなのか?」「パティスリーはエコロジーと共生可能か」「地産地消は本当に環境に優しいのか」などのテーマが取り上げられている。
世界中のファインダイニングとハイレベルのホテルを加盟店に持つアソシエーション「ルレ・エ・シャトー」も、10年ほど前から、プラスティック使用制限、サステイナブルフードへの舵取りなど、エコロジー意識を前面に打ち出し、イメージの若返りに成功した。ミシュランガイドも今年から、サステイナブルな取り組みをしているシェフに緑の葉のラベルを授与することになった。ガストロノミから大衆食堂まで、今後どのレベルのレストランにおいても、そういった価値観が必要不可欠になってくることを感じさせる現象の一つだ。
Sophie Llosa氏の店Piaf
© Lisa Streich
◇初出=『ふらんす』2020年3月号