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「アクチュアリテ 食」関口涼子

人気動画サイト「美味しいのが、いちばん」

 今回は、「フランスの人は普段何を食べているの?」「地方料理の特色は?」などの疑問に楽しく答える動画サイトを紹介したい。「C’est meilleur quand c’est bon(美味しいのが、いちばん)」だ。食のジャーナリストのエマニュエル・ジャリがフランスの様々な地方を旅して、そこでのオススメの店を紹介するというものだが、小さい村にある昔ながらの店や、地元の人に愛されている気さくな店を訪ねる彼女のテンポのいい語りに、撮影するカメラマンがユーモアのある合いの手を入れる独特のスタイルで、多くの世代から支持されている。


気さくな人柄も魅力のエマニュエル・ジャリ

 今ではトータル100万回再生を誇るエマニュエルの動画だが、最初は全くの手弁当で始めたのだという。様々な料理雑誌で働いていた彼女は、時に自分が美味しいと思えないレストランの提灯記事を書かなければならないことに疑問を抱き、自分が心から美味しいと思える場所と人を紹介できるメディアを作ろうと、パートナーでカメラマンのマチューに提案して5年前にこのシリーズを立ち上げた。その後人気が上昇。コロナ禍でレストランが営業停止の間は、簡単に作れるレシピを動画で紹介してさらに視聴者を増やし、数か月前に出した本は初版10万部、すでに重版が予定されているという。

 自分が文化人類学を博士課程まで専攻したことが今の仕事にも役立っているとエマニュエルはいう。ジャーナリズムの世界に入るのは遅れてしまったが、料理に対し異なる視点からアプローチできているところが共感を得ているのでは、と。確かに、彼女の映像からは単なる店の紹介ではなく、地域の特色や、そこでの人間模様などまでが垣間見える。また、フランス料理だけではなく、各国料理、移民の料理も多く扱っているのも特徴だ。

 若いときにはエール・フランス・マガジンなどのためにルポルタージュ記事を書き、世界中を飛び回っていたという彼女。今後、旅行が可能になったら再び海外のレストランを訪ねたいですか?と聞くと、当分はフランス国内に絞りたいという。まだ、訪ねていない村や、食べてみたい郷土料理が山ほどあるのだとか。

 今後も、私たちの知らないフランス料理の魅力を発見させてくれるに違いない。生のフランス語に触れたい人にもぴったりの動画だ。
https://cestmeilleurquandcestbon.com/

◇初出=『ふらんす』2022年4月号

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著者略歴

  1. 関口涼子(せきぐち・りょうこ)

    著述家・翻訳家。著書Fade、La voix sombre、訳書シャモワゾー『素晴らしきソリボ』

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