今年もフランス映画で開幕したカンヌ国際映画祭

オープニング作品 La Vénus électrique
©Les Films Pelleas
第79回カンヌ国際映画祭が、5月12日から12日間にわたり開催された。数年前からオープニング作品は、フランス国内で同日公開されることが条件になったため、今年も開幕を飾ったのはフランス映画だ。『プライスレス 素敵な恋の見つけ方』(2006)などのコメディ映画で知られるベテラン、ピエール・サルヴァドーリの新作La Vénus électriqueである。
1928年のパリを舞台に、妻(ヴィマラ・ポン)を亡くして創作ができなくなった画家、アントワーヌ(ピオ・マルマイ)と彼の画商(ジル・ルルーシュ)、画家が出会うサーカスで働くスザンヌ(アナイス・ドゥムースティエ)の人間関係が交差する。ひょんなことからスザンヌのことを霊媒師と勘違いしたアントワーヌは、彼女に大金を渡して妻のことを呼び出してほしいともちかける。お金に目が眩んだスザンヌは、霊媒師のフリをしてアントワーヌに会い続けるうちに、恋に堕ちてしまう。
フランスで言う“bankable”な(興行収入を見込める人気が安定した)俳優を揃えたキャスティング、レトロなパリやサーカス小屋の華やかな雰囲気、幅広い観客層に当てた商業的なスタイルのロマンティック・コメディは、フランス国内ではかなりのヒットを見込めるだろう。だが後半に話が入りくんでくるあたりから前半の面白さが下降し、冗長さを感じてしまう。さらにストーリー自体に現実味がないだけに、ナイーブでご都合主義的なエンディングにやや興醒めさせられる。
今年はフランス映画、およびフランスがメインの合作映画が例年以上に多い印象だ。コンペティションだけでもジャンヌ・エリーのGarance、レア・ミシウスのHistoires de la nuit、イラン人監督、アスガー・ファルハディがパリで撮影したHistoires parallèles、アルチュール・アラリのL’Inconnue、シャルリーヌ・ブルジョワ゠タケのLa Vie d’une femme、ハンガリー人監督ネメシュ・ラースローがフランスを舞台に、第二次世界大戦のレジスタンス運動の指導者、ジャン・ムーランを描いた伝記映画Moulin、エマニュエル・マール監督がヴィシー政権時代を描いたNotre Salut、濱口竜介監督がパリと日本で撮影した『急に具合が悪くなる』がある。さらにコンペティション以外の部門でも話題作が沢山あり、ここではとても書ききれないので、続きは次号でご紹介したいと思う。



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