フランス映画界、ゆく年くる年。
動員400万人を超えたL’Amour ouf
この号が出版される頃は新年を迎えているものの、まずは2024年のフランス映画界を振り返ってみたい。興行的なヒット作でトップを記録したのは、1079万人を動員した、コメディアン、アルテュス監督・主演のUn p’tit truc en plus、追ってピエール・ニエ主演のLe Comte de Monte-Cristo、俳優ジル・ルルーシュがメガホンを握った、アデル・エグザルコプロス、フランソワ・シヴィルによるラブストーリーL’Amour ouf、クリスチャン・クラビエ主演のコメディCocorico — On ne choisit pas ses ancêtres、タハール・ラヒムがシャルル・アズナブールに扮した伝記映画Monsieur Aznavourが続く。アカデミー賞のフランス代表に選出されたジャック・オディアールのEmilia Perezもすでに動員100万人を超えているが、賞レースの結果次第ではもっと数字が伸びる可能性もある。
他に批評家たちの評価が高かったのは、この欄でもご紹介したL’Histoire de SouleymaneとLes Fantômes、ベルトラン・ボネロのLa Bête、アラン・ギロディの Miséricorde、ジュリアン・コロナの初長編Le Royaume、ミシェル・アザナビシウスのアニメーション、La Plus Précieuse des marchandisesなど。こうしてみると、2024年は多彩なフランス映画が並んでいた。
では2025年にはどんな話題作が待機しているのか。前編、後編の壮大な歴史大作となりそうなのが、アントナン・ボードリー監督(『ウルフズ・コール』)がドゴール将軍を描くDe Gaulleだ。主演をシモン・アブカリアンが務める他、ティエリー・レルミット、ブノワ・マジメル、ニールス・シュナイダーらが脇を固める。リュック・ベッソンが『DOGMAN ドッグマン』のケイレブ・ランドリー・ジョーンズと再びタッグを組むDracula: A Love Taleも注目作。ドラキュラ伯爵の原点を描くとか。さらにロラン・ゴデの近未来SF小説をセドリック・ヒメネス(『バック・ノール』)が映画化するChien 51、アーサー王伝説をもとにしたテレビの人気シリーズを映画化し、264万人の観客を集め大ヒットしたファンタジー・コメディKaamelott — Premier volet(2021)の4年ぶりの続編などがある。2025年もフランス映画界は賑やかになりそうだ。