興行的に不調だった2025年。今年の話題作は

Vie privéeのポスター
2025年はフランス映画にとって、豊作とは言い難い年だったようだ。動員1千万人を超えた『サムシング・エクストラ! やさしい泥棒のゆかいな逃避行』や、『モンテ・クリスト伯』といった大ヒット作があった2024年に比べ、動員100万人を超える作品はわずか5本〈1. God Save the Tuche, 2. Un ours dans le Jura, 3. Ma mère, Dieu et Sylvie Vartan, 4. Chien 51, 5. Kaamelott : Deuxième volet partie 1〉だった。このうち1、2、5はコメディ、3はドラマティック・コメディ、4はSFアクションで、純粋なシリアス・ドラマはなかなか苦戦しているのが窺える。
一方、大ヒットとまでは行かなくても、全体的に評価が高かったのはフランソワ・オゾンのL’Étranger、ドミニク・モルのDossier 137、リチャード・リンクレイターのNouvelle Vague、アフシア・エルジのLa Petite dernière、ステファン・ドゥムースティエのL’Inconnu de la Grande Arche、レベッカ・ズロトヴスキのVie privée、そしてカンヌでパルムドールに輝き「フランス映画の代表」に選ばれたジャファール・パナヒのUn Simple accident。ズロトヴスキの作品は、フランス語が流暢なジョディ・フォスターが、初めてフランス映画に主演した作品としても注目を浴びた。パリに住むセラピストに扮し、元夫役であるダニエル・オートゥイユと、いかにもフランス的洒脱なカップルを演じている。
では2026年はどんな作品に出会えるだろうか。なんといっても注目は、『ドライブ・マイ・カー』でアカデミー賞に輝いた濱口竜介監督がパリを舞台に、宮野真生子と磯野真穂の往復書簡の原作を元に描く『急に具合が悪くなる』だろう。いま飛ぶ鳥を落とす勢いのヴィルジニー・エフィラと岡本多緒が共演する。イランのアスガー・ファルハディがやはりパリを舞台にしたHistoires parallèlesも、カトリーヌ・ドヌーヴ、イザベル・ユペール、ピエール・ニネ、エフィラの豪華キャストが揃う注目作だ。古典小説の映画化ブームは2026年も続くようで、『オペラ座の怪人』と『レ・ミゼラブル』も再び映画化される。前者は『モンテ・クリスト伯』で注目された若手、ジュリアン・ドゥ・サン・ジャン、ディーヴァ・カッセル、ロマン・デュリスの共演。後者はタハール・ラヒム、ヴァンサン・ランドン、ノエミ・メルランが名を連ねる。今年はフランス映画に活気が戻ってくることを願いたい。



