第48回 フリードマンの名言(3)
"The corporation is an instrument of the stockholders who own it. If the corporation makes a contribution, it prevents the individual stockholder from himself deciding how he should dispose of his funds."
Milton Friedman
フリードマンは、いわゆる「企業の社会的責任」に対しては徹底して反対の立場をとった。古くは、マーシャルの「経済騎士道」の提唱のように、企業家に公共的目的を自覚させる人間性の変化を期待する主張があったが、20世紀も後半になると、時代は、明らかに営利企業もその行動に「社会的責任」を自覚すべきだという共通認識が出来つつあった。現在では、有名企業は、そのホームページに、いかに「社会的責任」を自覚しているかを詳細に書き込むのが普通になっている(例えば、地球環境への配慮や地域社会へ貢献など)。しかし、フリードマンは、なぜそれに反対するのか。
「企業は、それを所有している株主の道具である。もし企業が寄付をおこなうようなことがあれば、それは、個々の株主自身から、自分の資金をどのように使うべきかを決める自由を奪うことになるのだ。」
フリードマンによれば、企業は株主のために利潤最大化だけを考えていればよく、何らかの団体に寄付行為を行う主体はあくまで個人であるべきであるという。あまりに明快な主張ではあるが、時流に逆らってまでそう主張するのは勇気の要ることだっただろう。筋金入りの「自由主義者」である。
Milton Friedman, Capitalism and Freedom, with the assistance of Rose D. Friedman, 1962, with a new preface by the author,1982,Chap.8.