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【根井ゼミ】「1日1文 経済学の名言」根井雅弘

第39回 レイヨンフーヴッドの名言

"The only thing which Keynes "revomed" from the foundations of classical theory was the deus ex machina---the auctioneer which is assumed to furnish, without charge, all the information needed to obtain the perfect coordination of the activities of all traders in the present and through the future."
Axel Leijonhufvud(1981)

 スウェーデン出身の経済学者、アクセル・レイヨンフーヴッドの出世作は、『ケインジアンの経済学とケインズの経済学』(1968年)である。アメリカのUCLAで教えた彼は、学界で「ケインズの経済学」とは明らかに異なるものが「ケインズ経済学」として語られていることに違和感を感じ、その本を世に問うた。その後の関連研究を刺激した功績は大きい。

 「ケインズが古典派理論の基礎から「取り去った」唯一のものは、(ワルラスの)競売人という「救いの神」なのだ。というのは、競売人は、費用をかけることなく、現在および将来にわたって、すべての取引者の活動を完全に調整するために必要とされるすべての情報を与えてくれるからである。」

 古典派(新古典派を含むと考えたほうがよい)の世界からケインズの世界へと移行するには、前者からワルラスの「競売人」を取り除きさえすればよいという解釈は、ポスト・ケインジアンには受け容れられないだろうが、誠に大胆で、多くの論争を巻き起こしたのもうなずける。

Axel leijonhufvud, Information and Coordination: Essays in Macroeconomic Theory, 1981,p.15.

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著者略歴

  1. 根井雅弘(ねい・まさひろ)

    1962年生まれ。1985年早稲田大学政治経済学部経済学科卒業。1990年京都大学大学院経済学研究科博士課程修了。経済学博士。現在、京都大学大学院経済学研究科教授。専門は現代経済思想史。『定本 現代イギリス経済学の群像』(白水社)、『経済学の歴史』、『経済学再入門』(以上、講談社学術文庫)、『ガルブレイス』、『ケインズを読み直す』、『英語原典で読む経済学史』『英語原典で読む現代経済学』(以上、白水社)、『経済学者の勉強術』、『現代経済思想史講義』(以上、人文書院)他。

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