第39回 レイヨンフーヴッドの名言
"The only thing which Keynes "revomed" from the foundations of classical theory was the deus ex machina---the auctioneer which is assumed to furnish, without charge, all the information needed to obtain the perfect coordination of the activities of all traders in the present and through the future."
Axel Leijonhufvud(1981)
スウェーデン出身の経済学者、アクセル・レイヨンフーヴッドの出世作は、『ケインジアンの経済学とケインズの経済学』(1968年)である。アメリカのUCLAで教えた彼は、学界で「ケインズの経済学」とは明らかに異なるものが「ケインズ経済学」として語られていることに違和感を感じ、その本を世に問うた。その後の関連研究を刺激した功績は大きい。
「ケインズが古典派理論の基礎から「取り去った」唯一のものは、(ワルラスの)競売人という「救いの神」なのだ。というのは、競売人は、費用をかけることなく、現在および将来にわたって、すべての取引者の活動を完全に調整するために必要とされるすべての情報を与えてくれるからである。」
古典派(新古典派を含むと考えたほうがよい)の世界からケインズの世界へと移行するには、前者からワルラスの「競売人」を取り除きさえすればよいという解釈は、ポスト・ケインジアンには受け容れられないだろうが、誠に大胆で、多くの論争を巻き起こしたのもうなずける。
Axel leijonhufvud, Information and Coordination: Essays in Macroeconomic Theory, 1981,p.15.