第49回 フリードマンの名言(4)
"Much of the actual inequality derives from imperfections of the market. Many of these have themselves been created by government action or could be removed by government action. There is every reason to adjust the rules of the game so as to eliminate these sources of inequality."
Milton Friedman
現在、レーガン=サッチャー政権誕生以降の新自由主義の世界的蔓延によって経済格差が拡大し、再び所得分配の是正や累進課税の強化などを求める声が次第に大きくなっている。しかし、フリードマンは、もともと新自由主義の流れを創り出した本のなかで、明確にそれらを否定している。
「現にある不平等の多くは、市場の不完全性に由来している。これらの多くは、それ自体、政府の活動によって生み出されたものか、政府の活動によって除去することができたものである。それゆえ、ゲームのルールを修正し、不平等の源泉を取り除くことがもっともなのだ。」
フリードマンは、そのような不平等の源泉として、政府が特別に許可した独占、関税、特定の集団に利益を与える法的措置などを挙げているが、その背後には、「政府こそまさに問題なのである」というフリードマンの経済哲学の核心があるように思える。不平等は累進課税の強化では除去できず、むしろ市場経済の論理を徹底させることこそが求められるのだという。彼は一生このことを主張し続けた。
Milton Friedman, Capitalism and Freedom, with the assistance of Rose D. Friedman, 1962, with a new preface by the author,1982,Chap.10.