第14回 ジョン・リチャード・ヒックスの名言(1)
"It turns out, on investigation, that most of the problems of several variables, with which economic theory has to concern itself, are problems of the interrelation of markets. ...What we mainly need is a technique of studying the interrelation of markets."
John Richard Hicks(1946)
ジョン・リチャード・ヒックスは、名著『価値と資本』(初版は1939年)によって現代ミクロ経済学の基礎をつくった功労者である。LSEにおいてロビンズの示唆に基づいて、ヨーロッパ大陸の経済学、とくにワルラスやパレートの一般均衡理論を研究したが、それは当時イギリスの正統派であったマーシャルの部分均衡理論にはない思考法だった。
彼は語学力とともに数学的能力にも恵まれていたので、関連の文献を渉猟し、『価値と資本』という一つの優れた体系書を書いた。もっとも、後年の彼は、『価値と資本』の分析手法から次第に離れていくが、その本が、ケインズの『一般理論』とともに、現代経済学(ミクロとマクロ)の古典であることに変わりはない。
「経済理論が取り扱わなければならない、いくつかの変数をもつ問題の大部分は、研究してみると、諸市場の相互連関の問題であることが判明する。・・・私たちが主に必要としているのは、諸市場の相互連関を研究する手法である。」
John Richard Hicks, Value and Capital: An Inquiry into Some Fundamental Principles of Economic Theory, second edition, 1946,p.2.