第3回 ソースタイン・ヴェブレンの名言
"Conspicuous consumption of valuable goods is a means of reputability to the gentleman of leisure.
"
Thorstein Veblen(1899)
ソースタイン・ヴェブレンを単に「経済学者」と呼ぶのは誤解を招きやすいかもしれない。私が彼の名前を初めて知ったのは、ガルブレイスの『不確実性の時代』都留重人監訳(TBSブリタニカ、1978年)を読んだときである。ヴェブレンこそアメリカ制度学派の創設者であり、ガルブレイスは自らも彼の系譜に連なっていることを誇りにしていたのだ。
「価値のある財の顕示的消費は、有閑紳士が名声を獲得するための手段である。」
「有閑階級」が豪奢な消費に耽って自らの富を見せびらかし、経済的にも社会的にも恵まれない他の人々との差異化を図るという考え方は、それほど新奇なものとは思えないかもしれないが、現代経済学の教科書で最初に習う「合理的経済人」(限られた予算内で財の消費から得られる効用を最大化する)とはずいぶん違う人間だ。ヴェブレンは、このような「顕示的消費」の例を未開社会にまで辿って語り出すのだから、ふつうの経済学者ではない。真の意味で「異端」の人である。
Thorstein Veblen, The Theory of the Leisure Class: A Economic Study in the Evolution of Institutions,1899.