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【根井ゼミ】「1日1文 経済学の名言」根井雅弘

第25回 ジョーン・ロビンソンの名言

"The Orthodox economists have been much preoccupied with elegant elaborations of minor problems, which distract the attention of their pupils from the uncongenial realities of the modern world, and the development of abstract argument has run far ahead of any possibility of empirical verification."
Joan Robinson(1965)

 ジョーン・ロビンソンは、ケインズの弟子たちのなかで初めてマルクス経済学と真剣に対峙した経済学者である。親交のあったカレツキやスラッファの影響はあっただろうが、彼女は、19世紀中頃に独占と失業を資本蓄積過程の必然的産物として取り扱っていたマルクスに関心を抱き、1938年頃から『資本論』を読み始めたという。

 「正統派の経済学者たちは、些細な問題の優美な精緻化にずっと夢中になっていたが、そのせいで彼らの弟子たちは現代世界の心地よくない現実から関心を逸らしているし、抽象的な議論の発展は、経験的検証の可能性のはるかに先を行ってしまった。」

 ケインズ革命後の彼女が急速に左傾化し、「左派ケインジアン」を名乗るようになった遠因はこの辺にあるかもしれない。他方で、革命前夜の彼女の理論家としての才能を高く評価する見解もあることを付け加えておきたい。

Joan Robinson, An Essay on Marxian Economics, second edition, 1965.

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著者略歴

  1. 根井雅弘(ねい・まさひろ)

    1962年生まれ。1985年早稲田大学政治経済学部経済学科卒業。1990年京都大学大学院経済学研究科博士課程修了。経済学博士。現在、京都大学大学院経済学研究科教授。専門は現代経済思想史。『定本 現代イギリス経済学の群像』(白水社)、『経済学の歴史』、『経済学再入門』(以上、講談社学術文庫)、『ガルブレイス』、『ケインズを読み直す』、『英語原典で読む経済学史』『英語原典で読む現代経済学』(以上、白水社)、『経済学者の勉強術』、『現代経済思想史講義』(以上、人文書院)他。

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