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【根井ゼミ】「1日1文 経済学の名言」根井雅弘

第22回 ライオネル・ロビンズの名言(2)

"They are the tools or lacqueys of capitalist exploiters--I think that has the authentic flavour. They are indefatigable opponents of social reform. They can conceive no function for the state other than that of the night watchman."
Lionel Robbins(1965)

 ケインズ革命以後しばらく、いわゆる「古典派」の経済学者はみな自由放任主義者で、夜警国家としての役割しか政府に認めなかったという「神話」が流布されるようになった。ケインズは、「セイの法則」(供給はみずからの需要を創り出す)を支持するか否かで「古典派」かどうかを判断するという戦略をあえて採用したのだが、それは彼の理論の独創性を際立たせるのに成功した一方で、「古典派」について誤ったイメージを植え付けてしまった。ロビンズは、これに反論した。

 「古典派の著作家たちは、資本主義的搾取者の道具または従僕であるーー私はそれは信頼できそうな雰囲気をもっていたと思う。彼らは社会改革への疲れを知らぬ反対者である。彼らは、夜警としての役割以外の国家の役割を一切想像することができないのだ。」

 ところが、古典派時代の著作家たちを研究してみると、彼らがいろいろな分野での社会改革への推進者であり、ケインズがつくった「古典派」は藁人形に過ぎないことが判明した。スミスでさえ自由放任主義者ではなかったので、予想される結論ではあったが、ロビンズはそれを広範な文献渉猟によって論証したのである。

Lionel Robbins, The Theory of Economic Policy in English Classical Political Economy,1965,p.5.

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著者略歴

  1. 根井雅弘(ねい・まさひろ)

    1962年生まれ。1985年早稲田大学政治経済学部経済学科卒業。1990年京都大学大学院経済学研究科博士課程修了。経済学博士。現在、京都大学大学院経済学研究科教授。専門は現代経済思想史。『定本 現代イギリス経済学の群像』(白水社)、『経済学の歴史』、『経済学再入門』(以上、講談社学術文庫)、『ガルブレイス』、『ケインズを読み直す』、『英語原典で読む経済学史』『英語原典で読む現代経済学』(以上、白水社)、『経済学者の勉強術』、『現代経済思想史講義』(以上、人文書院)他。

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