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【根井ゼミ】「1日1文 経済学の名言」根井雅弘

第11回 ケネス・E・ボールディングの名言

"We are, I believe, on the threshold of a new attempt at integration in the social sciences, perhaps even in general science." 
Kenneth E. Boulding(1950)

 社会学者の清水幾太郎の知遇を得ながら後悔していることがある。それは、清水氏が数冊翻訳も手がけているケネス・E・ボールディングについての話を聞かなかったことだ。だが、諸科学の総合を目指した彼の一般システム論は、やはり専門の社会学以外の各分野にも精通していた清水氏の関心をひくものがあったのだろう。
 第二次世界大戦後まもなく出版された『経済学の再建』には、まだ後年の一般システム論や「宇宙船地球号」などの話は出てこない。だが、すでにこの頃から、経済学という個別科学の限界を感じていたことが序文からうかがえる。

 「私たちは、社会科学、おそらくは一般科学においてさえ、新たな統合を試みる入り口にいるのだ、と私は信じている。」

 私は、大学院生の頃までは、一生懸命、経済思想史の各分野での研究を吸収することに専念していたので、世界を「物質圏」「生物圏」「社会圏」に分けて、その構成と進化を統一的把握しようという後年のボールディングの「大風呂敷」についていけなかったのかもしれない。もっと勉強しておくべきだったか。

Kenneth E. Boulding, A Reconstruction of Economics, 1950, p.vii.

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著者略歴

  1. 根井雅弘(ねい・まさひろ)

    1962年生まれ。1985年早稲田大学政治経済学部経済学科卒業。1990年京都大学大学院経済学研究科博士課程修了。経済学博士。現在、京都大学大学院経済学研究科教授。専門は現代経済思想史。『定本 現代イギリス経済学の群像』(白水社)、『経済学の歴史』、『経済学再入門』(以上、講談社学術文庫)、『ガルブレイス』、『ケインズを読み直す』、『英語原典で読む経済学史』『英語原典で読む現代経済学』(以上、白水社)、『経済学者の勉強術』、『現代経済思想史講義』(以上、人文書院)他。

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