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【根井ゼミ】「1日1文 経済学の名言」根井雅弘

第43回 スラッファの名言

"The investigation is concerned exclusively with such properties of an economic system as do not depend on changes in the scale of production or in the proportions of 'factors'. This standpoint, which is that of the old classical economists from Adam Smith to Ricardo, has been submerged and forgotten since the advent of the 'marginal' method."
Piero Sraffa(1960)

 「本書の研究は、生産規模や「要素」の割合の変化には依存しないような、経済体系の性質にもっぱらかかわっている。
 このような立場は、アダム・スミスからリカードに至る古い古典派経済学者の立場であるが、「限界的」方法の到来以来、水中に沈められ、忘れられてしまった。」

 イタリア出身のピエロ・スラッファは、不思議な魅力にあふれた経済学者である。ケインズが彼の初期の論文を高く評価し、ケンブリッジ大学への招聘に尽力したことは有名だ。彼のライフワークは、『商品による商品の生産』(1960年)だが、完璧主義者の彼は、この本の完成のために実に数十年の時間を費やした。限界革命以来の「限界的」方法を廃し、経済体系の投入・産出構造に規定されて価格が決まるという思考法は、まさに「古典派アプローチ」の再生であった。それは、いまだに学界の主流派ではないが、一部に熱狂的な支持者いることもまた事実である。

Piero Sraffa, Production of Commodities by Means of Commodities: Prelude to a Critique of Economic Theory, 1960, Preface,p.v.

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著者略歴

  1. 根井雅弘(ねい・まさひろ)

    1962年生まれ。1985年早稲田大学政治経済学部経済学科卒業。1990年京都大学大学院経済学研究科博士課程修了。経済学博士。現在、京都大学大学院経済学研究科教授。専門は現代経済思想史。『定本 現代イギリス経済学の群像』(白水社)、『経済学の歴史』、『経済学再入門』(以上、講談社学術文庫)、『ガルブレイス』、『ケインズを読み直す』、『英語原典で読む経済学史』『英語原典で読む現代経済学』(以上、白水社)、『経済学者の勉強術』、『現代経済思想史講義』(以上、人文書院)他。

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