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【根井ゼミ】「1日1文 経済学の名言」根井雅弘

第18回 フランク・H・ナイトの名言

"To preserve the distinction which has been drawn in the last chapter between the measurable uncertainty and an unmeasurable one we may use the term "risk" to designate the former and the term "uncertainty" for the latter."
Frank H. Knight(1921)

 フランク・H・ナイトは、保険のかけられる「リスク」とかけられない「不確実性」を区別したシカゴ大学の経済学者(フリードマンやスティグラーなどは、みな彼から経済理論を学んだ)として知られているが、彼の著書『危険・不確実性・利潤』(1921年)が読まれることはほとんどなくなった。彼のいう「不確実性」は、ケインズの意味での「不確実性」とほとんど同じなので、アメリカでケインジアンが嫌いな人はナイトの意味での「不確実性」という言い方を好むらしい。
 ナイトは、不確実性に直面した企業家の対処能力の差異が「利潤」を生み出す源だと考えた。優れた経済理論家だった一方で、「競争の倫理」と題する論文に示されているように、フリードマン流の「シカゴ学派」とは違う、「適度に」懐疑主義的な社会思想家でもあった。

「前の章で計測できる不確実性と計測できない不確実性を区別したが、その区別を維持するために、前者を指すために「危険」という用語を、後者のために「不確実性」という用語を使えよう。」

Frank H. Knight, Risk, Uncertainty and Profit,1921,p.233.

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著者略歴

  1. 根井雅弘(ねい・まさひろ)

    1962年生まれ。1985年早稲田大学政治経済学部経済学科卒業。1990年京都大学大学院経済学研究科博士課程修了。経済学博士。現在、京都大学大学院経済学研究科教授。専門は現代経済思想史。『定本 現代イギリス経済学の群像』(白水社)、『経済学の歴史』、『経済学再入門』(以上、講談社学術文庫)、『ガルブレイス』、『ケインズを読み直す』、『英語原典で読む経済学史』『英語原典で読む現代経済学』(以上、白水社)、『経済学者の勉強術』、『現代経済思想史講義』(以上、人文書院)他。

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