第37回 ブキャナンらの名言
"Keynes implicitly assumed that the control of the British political system ultimately lay in the hands of an intellectual élite of civil servants and others drawn from the same upper-middle-class and public school/Oxbridge-educated background, all deeply imbued with same notions of public duty as himself."
ケインズのいわゆる「ハーヴェイ・ロードの前提」または「哲人王仮説」を批判した、ジェームズ・M・ブキャナンを指導者とする「公共選択論」グループの批判。
「ケインズは暗黙裏に次のように想定していた。すなわち、イギリスの政治システムのコントロールは、究極的に、ケインズと同じように中産階級出身で、パブリック・スクールとオックスブリッジで教育された背景をもつ、公僕その他の知的エリートの手に握られており、彼らはすべてケインズが抱いたような公的任務についての同じような考えにすべて深く染まっているのだ。と。」
ブキャナンたちは、「ハーヴェイ・ロードの仮説」や「哲人王仮説」に基づいてその国にとって専門的に最も優れた政策を立案したとしても、それは、ことごとく、現代の大衆民主主義の現実によって否定されると言いたいわけだ。
James M. Buchanan, Richard E. Wagner and John Burton, The Consequences of Mr. Keynes : An analysis of the misuse of economic theory for political profiteering, with proposals for constitutional disciplines, 1978,p.48.